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アメリカの企業が実施するCSR(企業の社会的責任)

安部 かすみ

アメリカ・ニューヨーク(在住歴16年)

プロフィール詳細

北中南米|米国|2018年08月09日

 アメリカの企業では、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ(Corporate Social Responsibility、以下CSR)が積極的に行われている。CSRとは企業の社会的責任、つまり組織の力を生かして、環境やソーシャル・ウェルビーイング(健康的な社会)作りのために何が必要とされているのか自主的に判断し、イニシアチブをとって行動することを指す。

6月は某投資企業でCSRの強化月間

 アメリカと日本を行き来し、世界中の子どもを繋げる活動をしている寺尾のぞみさん。彼女は「ミステリオ」という団体名で、子どものためのサマーキャンプを日本で開催したり、手作りの人形を作って世界中の子どもに届けたりするプロジェクトを主宰している。

寺尾さんが、某投資系企業で行ったCSRの様子(ミステリオの人形の綿詰め作業)

寺尾さんが、某投資系企業で行ったCSRの様子(ミステリオの人形の綿詰め作業)

 寺尾さんは2011年以降、累計1万6,000体の手作り人形を届けてきた。膨大な数の人形をどのように作っているのかと聞けば、生地の裁断はニューヨークの中小企業に格安で依頼し、棉詰めの段階でこのCSRを利用していると言う。

 ミステリオの人形作りに参加しているのは、世界的に有名な某投資系大企業だ。この大企業では、毎年6月を「グローバルボランティア」の月として、世界中にある支社全員がCSRに参加する強化月間にしている。社員はゴミ拾い、ホームレスシェルターへの食事デリバリーなどさまざまなプログラムから選べる。中でもミステリオの人形作りは、社内のビル内で気軽に参加できるため、特に人気なのだとか。

綿詰め後に別のボランティアによって絵が描かれ、世界中に届けられる

綿詰め後に別のボランティアによって絵が描かれ、世界中に届けられる

 6月某日、その様子を見に行ってきた。午前と午後の2セッションに、全80名が参加。皆、超がつくほどのエリート集団だ。彼らがテーブルにつくと、見慣れぬ作業に最初はガヤガヤと騒がしかったが、作業を進めていくにつれて無言で綿詰めに集中し、どの人も真剣に取り組んでいる様子だった。

 寺尾さんによると、1日のセッションで計150体以上が完成するという。6月は、ほぼ毎日これの繰り返しだ。「皆さん真剣に取り組んでくれている上に、この投資企業からはグラント(助成金)もいただいている。とてもありがたいことです。」と語った。

日本でも大企業を中心にCSRを実施

 日本でも近年CSRを実施している大企業が増えてきているが、中小企業では取り組みがあまり進んでいないのが現状だ。しかし、利益とは、会社の行っている事業や経営の仕方が正しければきちんと出てくる結果と考えると、利益を上げるためだけに会社を経営するといった考えにとらわれるべきではないだろう。もう少し時間がかかるかもしれないが、より多くの中小企業の意識が変化していくことを望みたい。

関連ページ

・救命措置講習に見るアメリカらしさ
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=974

・【世界の統計局】米国
https://gmc.nikkei-r.co.jp/stat_area/?search_ext_col_01=02&topics_ext_options_search=1#area248

安部 かすみ

アメリカ・ニューヨーク(在住歴16年)

編集、ライター歴は日米で20年以上。アメリカでは07年より新聞社に勤務しシニアエディター職を経て、14年に独立。雑誌やニュースサイトで、ライフスタイル、トレンド、グルメ、テックについて連載記事を執筆。2018年2月、NYのトレンド発信地、ブルックリンにフォーカスした、クリエイティブ系の視察や観光などに役立つガイドブック『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ (旅のヒントBOOK)』(イカロス出版)を出版、発売した。

 
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