トップ  >   プログラム  >   世界の街角ライブラリー  >   日本インドネシア国交樹立60周年への思い~ガムランの演奏活動を通して

プログラム|世界の街角ライブラリー

日本インドネシア国交樹立60周年への思い~ガムランの演奏活動を通して

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴16年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2018年06月08日

 日本とインドネシアは、1958年1月20日に平和条約および賠償協定締結に調印し、今年は日本インドネシア国交樹立60周年にあたります。これを記念して、この1月20日には中央ジャカルタのホテル・インドネシア・ケンピンスキーで日イ国交樹立60周年開会式典が開かれ、ジャカルタ市内でも記念事業イベントがいくつか開催されました。
 そのイベントの一つに舞踏劇「浦島伝説」があり、これは筆者である私が主宰するジャワ伝統芸能楽団「スカール・テジョ」による公演でした。

日イ国交樹立60周年開会式典の様子。自民党の二階俊博幹事長、ユスフ・カラ副大統領らが出席

日イ国交樹立60周年開会式典の様子。自民党の二階俊博幹事長、ユスフ・カラ副大統領らが出席

16年間のガムラン経験を形に

 私は2002年に来イし、ジャカルタで在留邦人向け情報誌の制作・発行をする傍ら、ジャワガムラン※の演奏活動を行っています。気軽な気持ちで習い始めたガムランですが、その美しくも妖しい音色に惹かれ、また、20人前後の人たちと呼吸を合わせて演奏する快感にとりつかれ、あっという間に私の中でガムランは趣味を越え、生きがいとなりました。いろいろなグループで、多くのインドネシア人の仲間や先生方からガムランを学び、ジョグジャカルタのスルタン(王)やユドヨノ大統領(当時)の御前演奏など、貴重な演奏の機会もたくさんいただきました。

「スカール・テジョ」第一回公演「浦島伝説」の一場面

「スカール・テジョ」第一回公演「浦島伝説」の一場面

 2017年、私はガムラン楽器一式を購入し、長年の夢でもあった自分の楽団「スカール・テジョ」を創立しました。そして、楽団に集まってくれたジャワ人のプロ奏者達と、日イ国交樹立60周年のための公演をやろうと思い立ち、日イの文化をコラボした舞踏劇「浦島伝説」を制作。4カ月間の練習を経て2018年1月20日、60年前に日イが国交樹立の調印をしたその日に上演を行いました。
 両国に共通した海中宮殿にまつわる物語、すなわち浦島太郎の物語とジャワに伝わる南海女王伝説を融合し、浦島太郎がカメに乗って南海の女王に出会うというオリジナルストーリーを作成。これにジャワガムランの伝統曲をベースとした伴奏と舞踊を入れ、龍宮城で太郎が歓迎されるシーンでは日イの小学生達による盆踊り「炭坑節」も取り入れました。最後の場面で太郎が玉手箱を開けると、おじいさんではなくツルに変わり、それを見た女王はカメになり、2人は永遠に愛と友情を育んでいきます。2人の姿を日本とインドネシアになぞらえ、今後ますますの両国の友好発展を願いながら、舞台は幕を閉じました。

日イ国交樹立100周年へ向けて

 この舞台を手伝ってくれた子ども達は、皆10歳前後。40年後の日イ国交樹立100周年の際は、50代の働き盛りとして日本やインドネシア、そして世界の友好のために力を発揮してくれていることでしょう。私も「スカール・テジョ」の活動をさらに活発化させることで、微力ながらも日イの文化交流の懸け橋になれたらと考えています。この文章を読んでいただいた皆様も、機会があれば、ぜひジャワガムランの公演に足をお運びください。

「浦島伝説」終演後の様子。後列中央で花束を手にしているのが筆者

「浦島伝説」終演後の様子。後列中央で花束を手にしているのが筆者

※ジャワガムラン:ジョグジャカルタやソロを中心に発展してきた楽器であり音楽。青銅で作られた鉄琴や銅羅など複数の種類の打楽器、絃楽器、木琴、笛、両面太鼓など約15種類の楽器とボーカルで構成されたオーケストラ。

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴16年)

月刊誌パノーラ・インドネシア(旧さらさ) 編集長

 
PAGETOP