トップ  >   プログラム  >   世界の街角ライブラリー  >   救命措置講習に見るアメリカらしさ

プログラム|世界の街角ライブラリー

救命措置講習に見るアメリカらしさ

安部 かすみ

アメリカ・ニューヨーク(在住歴16年)

プロフィール詳細

北中南米|米国|2018年06月01日

 先日の大相撲巡業で、土俵上で挨拶をしていた京都府舞鶴市長が突然倒れ、救命措置のために土俵に上がった女性に対して降りるように促すアナウンスがされ大問題になった。これはそもそも、市長を助けようと土俵に上がった男性スタッフの中に誰も救命措置ができる人がいなかったから、医療関係者の女性が見かねて上がったということだった。

 奇遇にも私はこの問題が起こった1週間前に、ニューヨーク市が無料で開催した救命措置講習「011 CPR プログラム」を受けたばかりだったため、大相撲の話題をさらに身近に感じた。

講習は音楽をかけながら

 無料講習は、ニューヨーク市立図書館内で開催された。CPRという心肺蘇生法(心臓マッサージ)とAEDという自動体外式除細動器を使った救命措置について、FDNY(ニューヨーク市消防局)の消防隊員たちが実際にマネキンを使って指導した。参加者は20~30人ほどで、ほとんどが初めて救命措置を体験する人々だった。

 私も初めて救命措置を習ったが、CPRは一定のリズムで行うことが重要で、早すぎても遅すぎてもよくないということだった。アメリカらしい教え方だと思ったのは、1977年の大ヒット曲、ビージーズの「ステイン・アライヴ(Stayin' Alive)」がCPRにはちょうど良いリズムとかで、その曲を大音量でかけながら練習したことだ。音楽は一定のリズムを掴むためのもので、皆真剣に取り組んでいた。CPR講習の後はAEDの使用方法についても教えてもらい、全1時間ほどのトレーニングだった。

参加者は本番さながらに、真剣に取り組んだ

参加者は本番さながらに、真剣に取り組んだ

市民のみならず誰もが参加できる

実際にマネキンを使って心臓マッサージの練習をする

実際にマネキンを使って心臓マッサージの練習をする

 ニューヨーク市によるこの救命措置講習は、2~3カ月に一度の頻度で開催されている。受講証明書などは発行されないが、一度だけでなく何度参加してもよい。もちろん毎回無料だ。
 さらに参加者は、アメリカ市民のみならず外国人でも旅行者でも構わない。事前登録も不要だ。

 このような救命措置の知識は、普段の生活で頻繁に必要になるものではなく、あくまでも「いざというとき」のためのものなので、無料で学べるのは本当にありがたい。そしてどんな人でも参加できるというのは、移民や多様性を受け入れるアメリカらしい。

安部 かすみ

アメリカ・ニューヨーク(在住歴16年)

編集、ライター歴は日米で20年以上。アメリカでは07年より新聞社に勤務しシニアエディター職を経て、14年に独立。雑誌やニュースサイトで、ライフスタイル、トレンド、グルメ、テックについて連載記事を執筆。2018年2月、NYのトレンド発信地、ブルックリンにフォーカスした、クリエイティブ系の視察や観光などに役立つガイドブック『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ (旅のヒントBOOK)』(イカロス出版)を出版、発売した。

 
PAGETOP