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インドに「チャーイのチェーン店」

水洗 満美

インド・ニューデリー(在住歴10年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インド|2018年05月09日

すでに浸透しているコーヒーチェーン

 「インドでメジャーな温かい飲み物といえば、紅茶飲料のチャーイ」という認識は、統計的にみて誤りではない。インドにおける嗜好品の年間消費量を比較した調査によれば、紅茶の年間消費量は1人あたり176.6杯、コーヒーは16.6杯であった。
 また、National Sample Survey Officeが行った、都市部を対象とした調査によれば、コーヒーをよく飲むことで有名な南部の州でも、コーヒーの消費量は紅茶の消費量に遠く及ばなかった。

 それでも、中流層がパソコンを手に向かうのは、チャーイ屋ではなくコーヒーチェーンである。その風潮の元をたどれば、コーヒーチェーン「カフェ・コーヒー・デイ」の名が挙がる。1996年にオープンしてから、驚異的な速度で店舗数を伸ばしてきた。

チャーイはどこで飲まれていたか

 一方のチャーイは、学生や中流層の間に根付いたカフェ文化とは、長らく関係が薄かった。
 チャーイとは、家や、オフィスや、道端で飲むものだったからだ。

道端のチャーイ屋に集まる人々

道端のチャーイ屋に集まる人々

「チャーイのチェーン」あらわる

96ルピー(約155円)のチャーイ。<br />
素焼きの使い捨てカップが伝統的な<br />
チャーイを思わせる

96ルピー(約155円)のチャーイ。
素焼きの使い捨てカップが伝統的な
チャーイを思わせる

 最近、そのチャーイを売りにしたチェーン店が、目に見えて増えてきた。

 チャーイのチェーン店「チャーヨス」は、チャーイを主力商品に据えて店舗数増加を図っている。「私のチャーイ」と銘打たれたチャーイを注文すれば、好みの味にカスタマイズすることもできる。「チャーイの味は家庭ごとに異なるから」だという。

西洋風のパンだが、具はインド伝統の「パニール」である。ミニサイズ2つ入りで200ルピー(約322円)

西洋風のパンだが、具はインド伝統の「パニール」である。ミニサイズ2つ入りで200ルピー(約322円)

 チャーイのチェーンに対する中流層インド人の反応は上々だ。チャーイの味そのものを大絶賛する客は少ないが、「頻繁に変わるフードメニューをチェックするのが楽しい」と、リピーターも増えている。

店舗数の拡大速度はコーヒーチェーンが上

 「チャーヨス」は、2012年11月のオープンから現在までに店舗数を55店に伸ばした。若いインド人によるスタートアップ事業として始まったビジネスとしては、快進撃の部類に入るだろう。

 しかし、コーヒーチェーンの勢いはそれ以上だ。

 老舗「カフェ・コーヒー・デイ」は1996年7月からのスタートだが、現在の店舗数は1,600を超える。また、「タタ・スターバックス」のスタートは「チャーヨス」とほとんど同時期だったが、「タタ・スターバックス」の現在の店舗数は「チャーヨス」の約2倍である。

 インドの飲食業界は「先に出た者勝ち」だと言われるが、チャーイとコーヒーの関係も、しばらくはその法則通りに動くのであろうか。

「チャーヨス」の店内風景。ショッピングモールの通路脇をうまく利用している

「チャーヨス」の店内風景。ショッピングモールの通路脇をうまく利用している

出典

・Yahooファイナンス(Euromonitor Internationalのリサーチ・アナリスト、Sanjeev Raikar氏による調査)
https://finance.yahoo.com/news/chai-might-coffee-cant-topple-tea-india-234107395.html

水洗 満美

インド・ニューデリー(在住歴10年)

 
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