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ゴールデンロックのロープウェイが開通。ただし区間は頂上近くから頂上までのみ

板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

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アジア・オセアニア|ミャンマー|2018年02月15日
チャイティヨー・パゴダのゴールデンロック

チャイティヨー・パゴダのゴールデンロック

 外国人観光客には「ゴールデンロック」の名で親しまれている、ミャンマー3大聖地のひとつチャイティヨー・パゴダ。2017年12月、この聖地にロープウェイが開通した。直線コースで955mの距離を定員8名のゴンドラが計43機、片道10分前後をかけて往復する。運賃はミャンマー人が片道3000チャット(約250円)、外国人は5US$となっている。
 2018年1月9日付けの政府系英字紙『グローバルライト・オブ・ミャンマー』では、12月19日から31日までの23日間に、外国人600人を含む約6万2000人が利用したと発表。1日あたりに換算すると約2700人となり、かなりの盛況といえる。

開発したのは韓国とミャンマーの合弁会社

 ロープウェイを運営するスカイアジア社は、韓国のスカイインターナショナル社とミャンマーの会社との合弁会社。13.5エーカーの土地を50年間借り受け、BOT方式で開発した。総工費は2000万US$といわれている。
 ゴールデンロックは山頂にひっかかるように乗った大岩で、髪の毛1本分だけ宙に浮いていると信じられている。1年間に3度お参りすれば金持ちになれるという言い伝えがある。

開通したばかりのロープウェイ<br />
(写真提供:MYANMAR NARA-APEX TRAVELS & TOURS CO., LTD.)

開通したばかりのロープウェイ
(写真提供:MYANMAR NARA-APEX TRAVELS & TOURS CO., LTD.)

ジェットコースターのようなトラックで山頂へ

トラックの荷台を改造した従来の交通手段

トラックの荷台を改造した従来の交通手段

 国際空港のあるミャンマー最大の都市ヤンゴンからチャイティヨー・パゴダへ行くには、まず車で4時間ほど南東方向にあるキンプンという町へ向かう。チャイティヨー・パゴダは標高1101mの山の上にあり、キンプンからはトラックの荷台を改造した専用車で向かう。ちなみに、一般乗用車の走行は禁止だ。
 トラックは荷台に乗客をぎゅうぎゅう詰めにして急勾配の坂道を猛スピードで登るのだが、よく言っても遊園地のアトラクションといったところで、乗り心地は最悪の輸送手段だ。運賃は往復で2500チャット(約210円)。下りと上りの車線は衝突事故を避けるために分かれており、途中で一部、上下道が1本になる箇所では15分おきくらいでどちらかの道路を封鎖し、一方通行にするなど安全面に配慮している。

 2014年にロープウェイ建設の話が持ち上がった際、金銭的に余裕のある層では「運賃が高くなっても、より安全で楽に頂上へ行けるならその方がよい」という意見が多かった。しかし、実際に計画が具体化した段階で判明したのは、ロープウェイが結ぶのはふもとから頂上ではなく、頂上まであと3kmとなる地点からであった。
 誰も明言していないが、トラックが生計に直結する地元の生活に配慮してのものだといわれている。とりあえずこの区間で営業し、様子を見ながら数年内にふもとまで延長するのでは、というのだ。

バガン遺跡のフリーバスは試験運用も中止に

馬車での観光がバガン遺跡では人気

馬車での観光がバガン遺跡では人気

 新しい交通手段を展開する場合は、地元既得権益との間で軋轢が起こりやすい。2016年12月には、国際協力機構(JICA)が主導して「バガンフリーバス」の試験走行を始めた。主だった遺跡を無料バスで結ぶという計画で、テスト期間は2週間の予定だったが、開始後数日で地元の大反発をかって中止に追い込まれた。
 バガン観光の足は観光馬車とレンタル電気バイクが主流で、それらが地元の人びとの生活を支える大きな柱になっていたためだ。試験走行のため無料で実施されたが、本走行では運賃を徴収する予定だったという。しかし、地元への説明不足もあって、猛反対を受けてしまったようだ。
 無数の遺跡が広い範囲に散在するバガンは、チャーターした車か馬車、レンタルした電気バイクで回るしかなく、観光客にとって利便性はあまりよくない。しかし、住民たちにとっては観光地全体が活性化して観光客が増える将来には実感は伴わず、目先の生活費がまずは重要だったということだ。

 チャイティヨーのロープウェイは現在のところ、運賃的にも立地的にもトラック業者の生活を脅かす存在ではない。今後どのような形で延長を図るのか、またはこのままで行くのか。ひとつのテストケースになりそうだ。

板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

ミャンマー在住6年目の編集・ライター&取材コーディネーター。著書に『現地在住日本人ライターが案内するはじめてのミャンマー』(徳間書店)など。

 
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