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アオウミガメが住む海

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2017年08月23日
産卵直後のアオウミガメ

産卵直後のアオウミガメ

 アオウミガメは、インド洋、大西洋、太平洋の熱帯や亜熱帯の水深の浅い沿岸域に生息するウミガメの一種だ。楕円形の甲羅の長さは1メートル前後、体重は200キロを超える個体もいるといわれる。名前からすると青い色なのかと思うが、実際は濃くてやや緑がかったチャコールグレーをしている。現在、絶滅の危機にあるとされ、ワシントン条約で国際間の取引が禁止されている。
 さて、このアオウミガメの産卵地の一つにインドネシアがある。卵はピンポン玉を少し大きくした感じの直径4~5センチの球形で、殻は硬くなく、約2~3カ月で孵化する。私は6月の終わりに3泊4日で訪ねたカリマンタン島の東にあるデラワン島で、偶然にもアオウミガメの産卵に遭遇した。

産卵は夜の海岸で

 デラワンは最近人気が出始めたダイビングスポットで、自然のままの海でアオウミガメ、マンタ、ジンベイザメが見られる。私は残念ながらダイビングはできないのでシュノーケリングだけだったが、それでもアオウミガメと並んで泳いだりできて、十分海遊びを満喫した。島にある宿泊施設の桟橋からも、ウミガメが泳ぐ様子がしばしば見られた。
 初日の晩、同行した友人達と花火をやろうということで海岸へ向かった。すると薄暗い海辺の低木の根元辺りに大きくて浅いくぼみができており、そこに一匹の大きなウミガメがいるではないか。監視員に聞くと産卵が終わったところだという。くぼみは産卵のために自分で掘ったもので、産卵が終わると海に戻ろうと手足をばたつかせながらくぼみから脱出する。サラサラの砂がすぐに崩れるため、脱出も一苦労で、実に約40分かけて海に戻って行った。
 監視員が砂を掘り起こすと、60センチほどの深さのところから卵が93個出てきた。この卵は保護センターに運ばれ、そこで孵化するのだ。

掘り起こされた卵

掘り起こされた卵

大人になれるのは一匹

子ガメに触れる筆者

子ガメに触れる筆者

 翌々日、デラワンの近くにあるサンガラキ島の保護センターを訪ねてみた。この島はアオウミガメの産卵のメッカで、ピークの8月には毎晩のようにカメが上陸してくる。6月時点でも既に、砂浜のあちこちに大きくて浅いくぼみができていた。保護センターにはミニプールのような水槽があり、そこには孵化直後の、甲羅の長さが約5センチの子ガメがたくさん泳いでいた。孵化率は約7割。ガイドによると、この子ガメ達はその日の夜に海に放すのだそうだが、海にたどり着く前に大トカゲに食べられたり、海に入ってからも天敵がいるので、無事大人になれるのはこの中の一匹とのこと。どの子ガメもかわいいので、ぜひ大きくなって欲しいと思うのだが、自然界は厳しい。

保護センターの水槽の子ガメ。まだ孵化したばかりだ

保護センターの水槽の子ガメ。まだ孵化したばかりだ

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

月刊誌さらさ編集長

 
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