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西陣織、イナクラフトへ出展 ― ジョグジャカルタ伝統柄との文化融合

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2017年07月11日

 日本人であれば、京都の伝統工芸である先染め織物の西陣織を知らない人はいないだろう。1467年の応仁の乱の頃に発展したとされるが、発祥はそれより古い5世紀末ごろといわれる。この、日本が誇る伝統文化、西陣織がジョグジャカルタ(以下ジョグジャ)のバティック柄を取り入れ、4月26日~30日に南ジャカルタ・スナヤンで行われたインドネシア最大の手工芸品展イナクラフトに出展し、注目を集めた。

バティックと西陣のなれそめ

ジョグジャ王室のパラン柄を取り入れた西陣織(左下)

ジョグジャ王室のパラン柄を取り入れた西陣織(左下)

 出展したのは、数ある西陣織のメーカーや織元の中でも技術の継承と次世代和装市場の創出に向けて積極的に活動を行う7社が集まり2013年に結成された「西陣織アンソロジー」※だ。7社のうち、とみや織物は、約10年前からジョグジャカルタ特別州で生産されているクリキュラのまゆから作った生糸を原料に帯を制作しているなど、ジョグジャとは縁があった。日本国内だけでなく海外での市場も開拓したいと考えた西陣織アンソロジーは、こうした縁もあり、2016年にイナクラフトを視察、その足でジョグジャのスルタン王宮を訪ね、ハメンクブウォノ10世(スルタン)の第一王女のマンクブミ王女から、王室に伝わる伝統的モチーフのパラン柄などの使用を許可された。

イナクラフトへ出展

 西陣織アンソロジーはスルタン王家所有のバティックを借り受け、柄をどのように西陣織に取り入れるかを研究、その成果を1年後のイナクラフトで披露する形となった。展示会当日、広々と取られたブースには、きらびやかな西陣織の帯が壁一面に飾られ、豪華な雰囲気が漂った。ブースに入り、展示物を一つ一つよく見ていくと、純和風の柄とバティック柄が並んでいるのがわかる。遠目では本物のバティックに見えるが、近くで見ると紛れもない織物で、ジョグジャと京都の伝統が融合して誕生した作品に、感動すら覚えた。こうした展示を通じて西陣織の価値がインドネシア国内で認知され、広まるだけでなく、バティック柄の帯が日本で流行したらどんなに素敵なことだろう。

純和風のデザインとバティック柄が違和感なく並ぶ

純和風のデザインとバティック柄が違和感なく並ぶ

ジョコ大統領らによる視察

 イナクラフト初日の26日、ジョコ・ウィドド大統領や石井正文駐インドネシア大使夫妻、ジョグジャカルタ・スルタン王家のグスティー・カンジェン・ラトゥ・ヘイマス王妃、スルタン王家の分家からパクアラム10世らもブースを訪れ、熱心に見学した。中でもジョコ大統領は西陣織で制作された自身の肖像画を贈られ、「絵かと思った」とその出来栄えに目を見張った。

ジョコ・ウィドド大統領(左から3人目)と石井正文駐インドネシア大使(左)もブースを訪れ、握手を交わした。左から2人目は、とみや織物の社長、冨家靖久さん(50)

ジョコ・ウィドド大統領(左から3人目)と石井正文駐インドネシア大使(左)もブースを訪れ、握手を交わした。左から2人目は、とみや織物の社長、冨家靖久さん(50)

グスティー・カンジェン・ラトゥ・ヘイマス王妃は、肩に織物を羽織って感触を確かめた

グスティー・カンジェン・ラトゥ・ヘイマス王妃は、肩に織物を羽織って感触を確かめた

 京都とジョグジャは1985年に友好提携を結んでいて、伝統工芸における技術交流の取り組みが活発に行われている。2018年の日イ友好60周年に向け、コラボレーション作品がさらに増えていくのが楽しみだ。

出典

・※西陣織アンソロジーには、梅垣織物、岡文織物、木屋太-今河織物、とみや織物、西陣・田中伝、西陣まいづる、弓月&でにむどすの7社が参加。
www.nishijinn-ori-anthologie.jp/

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

月刊誌さらさ編集長

 
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