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アメリカの最新ファッションテック。買い物のプロセスを40%早くする近未来の試着室

安部 かすみ

アメリカ・ニューヨーク(在住歴16年)

プロフィール詳細

北中南米|米国|2017年04月14日

 全米の大都市圏では、ファッションテック(ファッションとテクノロジーを掛け合わせた造語)を導入しているブランド店が浸透し始めている。今回はその一つ、2年前から導入されサービスが日々進化し続けている面白い試着室を紹介する。

試着室内で支払いまですべて可能に

商品を試着室内に入れると、自動で商品情報がオークミラー上に出てくる

商品を試着室内に入れると、自動で商品情報がオークミラー上に出てくる

 この試着室とは「The Oak Mirror(オークミラー)」と呼ばれるもの。顧客が試着したい商品を手にして試着室に入ると、何もしなくても商品情報が試着室内の鏡に写し出される。この鏡はタッチパネルになっており、店員をわざわざ呼んでリクエストせずとも、ほかのサイズや色など、在庫確認やリクエストがタッチパネル上で瞬時にできるのだ。

 日本語を含む言語設定や、洋服を着るであろうシーン(照明)の選択メニューもある。また自分のスマートフォン情報を入力すると、店で購入しなくても後日オンラインで簡単に購入することが可能だ。

 今年の2月から、新たにオークミラー内でApple PayやAndroid Payの利用も可能になったばかり。すべての買い物のプロセスを、この試着室内で済ませられることができるようになった。

 これら一連のプロセスを可能にしているのは、RFIDと呼ばれるセンサー技術(Suicaのような非接触ICカードと同じ技術)。洋服にはID情報が埋め込まれたRFタグが付けられており、このRFタグにより、試着室に入れば何もしなくてもRFIDが察知し、商品情報が鏡に写し出されるのだ。

このオークミラーを開発したのは、米「Oak Labs, Inc.(オーク・ラボズ社)」。元eBayの小売イノベーションチームにいたテック専門家らにより開発され、2015年に誕生した。現在、ラルフローレン、ゲリーヴェーバー、レベッカ・ミンコフなどのブランド店で導入されている。

自分でチェックアウトもできる

オークミラーは店のスタッフが持っているiPadと繋がっており、タッチスクリーンでリクエストすれば、すぐに在庫商品を持って来てくれる

オークミラーは店のスタッフが持っているiPadと繋がっており、タッチスクリーンでリクエストすれば、すぐに在庫商品を持って来てくれる

 アメリカのファッションテック業界ではほかにも、顧客がレジに並ぶことなく自分でチェックアウトができる、「ノーキャッシュレジスター」も浸透し始めている。スタッフに「これ買います」と言わずとも、また現金がなくても、自分のスマートフォンとクレジットカードだけを使って、買いたいときにさっと買えるのだ。これを可能にするキューホップ・ステーションを導入している店で、専用機にクレジットカードを通して支払いをすませたら、盗難防止用のセキュリティタグも自分で外せる。

 今後、全米中で世界中で、オークラミーやキューホップ・ステーションの導入店が増え、買い物がよりスムーズに便利になっていくことだろう。

安部 かすみ

アメリカ・ニューヨーク(在住歴16年)

編集、ライター歴は日米で20年以上。アメリカでは07年より新聞社に勤務しシニアエディター職を経て、14年に独立。雑誌やニュースサイトで、ライフスタイル、トレンド、グルメ、テックについて連載記事を執筆。2018年2月、NYのトレンド発信地、ブルックリンにフォーカスした、クリエイティブ系の視察や観光などに役立つガイドブック『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ (旅のヒントBOOK)』(イカロス出版)を出版、発売した。

 
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