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医療後進国ミャンマーにタイの病院が続々進出

板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|ミャンマー|2016年12月12日

 2016年11月6日、ヤンゴンの大使館が並ぶダゴンエリアで、バムルンラードクリニックがオープン記念式典を行った。庭を備えた白亜の邸宅風クリニックは高級感たっぷり。待合室はまるでどこかのお洒落カフェ風のようで、片隅には無料で楽しめるコーヒーマシンが置かれていた。
 バムルンラードはバンコクにある私立病院で、在住外国人はもちろん、近隣諸国からも患者が集まる大規模病院だ。同院サイトによれば創立は1980 年、ベッド数 554 床、 30 の専門センターをもつという。最新式の医療機器はもちろん、5つ星ホテル並みの豪華ロビーや複数のレストランを院内に擁すなど、バンコクでも1、2を争う高級施設を誇る。

外来外国人患者数ではミャンマーが№1

マンモグラフィーなどの検査機器が充実するヤンゴンのバムルンラード

マンモグラフィーなどの検査機器が充実するヤンゴンのバムルンラード

 同院には年間 100 万人を超える患者が来院するが、その内の 40 万人が世界190ヶ国からやって来る外国人患者。ミャンマー人患者の来院延べ数は2015年に6万人に達し、外国人患者中で最多となっている。2位はアラブ首長国連邦(UAE)で、3位がバングラデシュ、日本人はタイ在住者がほとんどで、12位だ。
 ちなみに診療費合計でみると、UAEとミャンマーの順位は入れ替わるのでは、とみる人が多い。 重篤な病気の治療のためにバンコクへやって来る患者が多いUAEに対し、ミャンマーは距離の近さもあり、それほど重い病気でなくとも来院するためだ。

ヤンゴンのローカル診療所の入口には医師の看板がずらり。ほとんどが非常勤だ。

ヤンゴンのローカル診療所の入口には医師の看板がずらり。ほとんどが非常勤だ。

 長く続いた軍政下で鎖国に近い状態に長く置かれたミャンマーでは、医療が極めて遅れており、医療機器の質や量も圧倒的に不足している。しかも、優秀な人気医師が複数の病院で診療を行うことが常態化しているため、腕がたつと評判の医師にかかるためには何時間も並ぶのは当たり前。早朝から並んでも、診療してもらえないことも珍しくない。
 このため、ある程度の財力がある中間層の上から富裕層にかけては、診療を受けるためにバンコクへ出向く人が多い。なお、富裕層の最上部に属する人びとは、シンガポールの病院にかかるケースが多いといわれている。
 こうした流れの中で、バムルンラードをはじめとするタイの病院は、ミャンマー人患者を取り込むために各地に出張事務所を置き、患者の誘致に努めてきた。それがここ数年の経済開放の進展で、クリニック自体の進出へと変わってきたのである。

バムルンラードに続きサミティベートも

 タイの病院に関しては、現地でバムルンラードと1、2を争う高級病院サミティベートも、ヤンゴンに2つ目のクリニックを開いた。1つ目のクリニックは地元病院との提携で、その病院内に設けられたものなので、独自の診療所を設けるのは今回が初めてだ。こちらもハイセンスなインテリアの近代的設備を備えたものとなっている。
 タイ以外でも、この1、2年でインドネシアのシアロムが地場のパンライン病院と、日本の大雄会はヴィクトリア病院と提携を開始。各々提携先と協力して診療を行っている。ミャンマーの外資系医療ビジネスは今まさに、黎明期から成長期へと移行しつつあるといえる。

新しくオープンしたサミティベートのヤンゴン診療所

新しくオープンしたサミティベートのヤンゴン診療所

板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

ミャンマー在住6年目の編集・ライター&取材コーディネーター。著書に『現地在住日本人ライターが案内するはじめてのミャンマー』(徳間書店)など。

 
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