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断食月の食べ物

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2016年06月23日

 インドネシアは人口約2億5500万人のうち88.1%(約2億人)がイスラム教徒だ(※)。イスラム教徒というとジルバッブまたはヒジャブと呼ばれる女性のスカーフを思う浮かべる人も多いと思うが、インドネシアではこれを着用するかどうかは基本的に本人の自由で、また、男性の中には飲酒を好む人もいるなど、日本人の目から見た限り、インドネシアの人々は比較的おおらかにイスラム教を信仰しているように見える。しかし、プアサ月(断食月)に入ると、少なくとも筆者の周囲にいるほぼすべてのイスラム教徒が断食を行う。

プアサ期間中の生活サイクル

モスクでお祈りする女性達。断食月ならではの光景だ

モスクでお祈りする女性達。断食月ならではの光景だ

 プアサの期間は1カ月で、今年のプアサは6月6日から始まった(太陰暦のイスラム暦に沿っているため、開始日は毎年11日ずつ早まる)。この時期、イスラム教徒の生活サイクルは一変する。日の出前の朝3時に朝食を済ませ、夕方6時ごろの日没まで飲食や喫煙を断つ。怒ることも禁じられているため、心穏やかに過ごさなくてはいけない。日没になると一日の断食が明けるので、空っぽの胃を守るためにまずは甘めの紅茶を飲み、愛煙家は実にうまそうに煙草をくゆらす。夜8時ごろには、プアサ月のみ行われるタラウィー礼拝があるため、男性も女性もモスクで祈る。

プアサ月に登場する食べ物

 このように、プアサ期間中は生活と食事のリズムが変わるため、この時期だけ登場する断食明け用の食べ物も多い。その代表選手がデーツ(ナツメヤシの実)だ。自然な甘みがあり、ビタミンやミネラルが豊富なため、断食中の人々の栄養源となる。インドネシアでは生産量が少ないため、中近東などから輸入されており、スーパーマーケットなどで1箱(約200グラム)3万ルピア(約300円)程度で売られている。

スーパーで山積みで売られているデーツ。飾り付けもイスラム風だ

スーパーで山積みで売られているデーツ。飾り付けもイスラム風だ

 デーツの他に目につくのは黄色い楕円形の瓜、ティムン・スリだ。メロンを淡白にしたような味で、主にシロップの具として使われる。他にも、やし砂糖で甘くしたココナツミルクにバナナやイモを入れたコラックや、ココナツムースのブブール・スムスムなどもあり、断食中の人々の楽しみになっている。

ふかしたかぼちゃやバナナが入ったコラック

ふかしたかぼちゃやバナナが入ったコラック

出典

・※外務省ホームページ内インドネシア基礎データ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/indonesia/data.html

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

月刊誌さらさ編集長

 
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