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インド人が世界のマネーを制覇する

岩本 文彦

広告代理店、株式会社ケー・アンド・エル

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インド|2016年05月13日

DBS銀行CEOはインド人

金融関係のビルが立ち並ぶシンガポール中心街

金融関係のビルが立ち並ぶシンガポール中心街

 シンガポールに住み始めて、地元の銀行に個人口座を作った。OCBCとか、UOBとかいろいろと選択肢はあったが、会社の従業員の勧めで、シンガポールでは大手のDBS銀行(旧シンガポール開発銀行)にした。口座を作ってすぐに、この銀行グループのCEOがピユシュ・グプタ(Piyush Gupta)というインド人であることを知った。

 ピユシュ・グプタ氏は、1960年インドのウッタル・プラデシュ州生まれ、IIM (インド経営大学院)アーメダバード校出身のインド人である。卒業後、シティバンク・インド支店に入行。シティグループのアジアパシフィック地域担当CEOを経て、2009年に50歳の若さで、DBSグループのCEOに就任。2013年、The Asian Bankerの “Best CEO, Asia Pacific”、 2014年、CNBCが選ぶ「シンガポール・ビジネス・リーダー・オブ・ザ・イヤー」などに輝いている。シンガポールでは、街角の両替商にインド人が多く、数字には強いという印象があったが、金融界のトップで活躍するインド人に関してはあまり認識がなかった。

シンガポールの中心地にあるDBS銀行

シンガポールの中心地にあるDBS銀行

金融界で活躍するインド人

 調べてみると、金融界で活躍するインド人は実はかなりいる。1960年プネ生まれのアジェイパル・シン・バンガ(Ajaypal Singh Banga)氏が2010年にマスターカードのCEOに就任しているし、1963年ジャイプール生まれのアンシュー・ジェイン(Anshu Jain)氏が、2011年から2015年までドイツ銀行の共同CEOに就任。格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズも2011年まで、インド人のデブン・シャーマ(Deven Sharma)氏が社長だった。

 インド人が経営者として活躍しているのは、金融界だけではなく、マイクロ・ソフトのサトヤ・ナデラ(Satya Nadella)氏、グーグルのスンダ・ピチャイ(Sundar Pichai)氏など枚挙にいとまがないのだが、インド人の経営能力にはあらためてびっくりする。

これからの世界を作るのはインド人?

 Vivek Wadhwa教授の2012年の調査によれば、シリコンバレーで起業するスタートアップのうち15%以上がインド人の経営だという。これは驚くべき数字だ。一方、銀行口座を持たない人口としては世界トップクラスのインドだが、電子マネーのpaytmが、インドで利用者数を急激に伸ばしているとの情報もある。インドのOne97Communicationという会社が運営しているサービスだが、利用者数は1.2億人を超えているという。

 金融界やシリコンバレーから、リバース・イノベーション*の分野まで、インド人が新たな時代を作り出している。インドはもはや新興国ではなく、我々が意識するよりも、かなり先を行っているのではないだろうか。

*新興国生まれの技術や新興国市場に合わせ開発したシンプルな製品を、先進国に持ち込み世界に普及させるという概念。従来の手法とは逆に、新興国から先進国へと展開させるので「リバース・イノベーション」と呼ばれる。

インドの電子マネーpaytmのスマートフォンアプリ

インドの電子マネーpaytmのスマートフォンアプリ

出典

・DBS銀行
https://www.dbs.com/about-us/

・ZDNet Japan「グーグルもマイクロソフトも--なぜ米IT企業はインド人CEOを好むのか」
http://japan.zdnet.com/article/35069414/

・The Face of Success, Part I: How the Indians Conquered Silicon Valley by Vivek Wadhwa
http://www.inc.com/vivek-wadhwa/how-the-indians-succeeded-in-silicon-valley.html

・インドの電子マネーpaytm
https://paytm.com

岩本 文彦

広告代理店、株式会社ケー・アンド・エル

アジア・インド担当20年

 
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