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セレブ系からローカル系まで 「カンボジアのインターナショナルスクール事情」

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アジア・オセアニア|カンボジア|2016年02月05日

 カンボジアというと、とかく「学校が足りない」というイメージがつきまとう。しかし一方、都市部では経済成長による中間層・富裕層の増加により、教育に力を入れる親が増え、多数の私立学校ができている。その多くが、インターナショナルスクール(以下インター校)と称するいわゆる外国語(主に英語)での教育を施す国際学校で、自社調査(※)によると、首都プノンペンでは200を越えるインター校が存在する。
※Cambodia Yellow Pageによる自社調査

インターナショナルスクール(幼稚部)の授業風景

インターナショナルスクール(幼稚部)の授業風景

カンボジア人にとっての「外国語教育」とは

 そもそも、カンボジア人の外国語習得意欲は高い。カンボジアは内戦により地場産業が崩壊し、国の経済がいまだ外資頼みという実情があり、しいては外資系企業への就職イコール高収入、より良い生活に通じるという図式が広範囲において浸透している。また、観光が国の主要産業であり、サービス業における外国語需要は非常に高い。

 例えば、年間約450万人(2014年)の外国人観光客を受け入れるアンコールワットの街シェムリアップでは、カフェやスーパーの店員といえども簡単な英語力が必要とされる。これらの理由から、子供の将来を考える親が子女の外国語教育に熱をいれるのは当然の流れと言えよう。

学費は日本と同等!?のセレブ系インター校

 カンボジアにおける英語系インター校の歴史は約30年前。「インターナショナルスクール・オブ・プノンペン」が1989年開校と最も歴史が古く(自社調べ)、90年代後半から2000年代前半に「ザマン・インターナショナルスクール(1997年)」や「ノースブリッジ・インターナショナルスクール(2000年)」等いくつかの学校が開校。いずれもプノンペンにあり、政府高官や外国人駐在員子女が通う「名門」と呼ばれるインター校だ。

 カリキュラムは学校により様々だが、アメリカまたはイギリスの教育課程に則り、国際バカロレア(IB)やケンブリッジ検定(IGCSE)を採用している学校が多く、海外留学のための何らかの措置をとっている。学費も高等部になると年額2万US$(約240万円)(※)前後と日本のインター校と変わらない。
 ※1US$=120円で計算

現地のニーズによって急成長するローカル系インター校

プノンペンにある”ローカル系”インター校

プノンペンにある”ローカル系”インター校

 一方、ここ数年で急増しているのが、ローカル色の強いインター校だ。学校によっては全国に「チェーン展開」をしており、雨後の筍のごとく増殖している。学費は年間1,000~2,000US$程度(約12万~24万円)の学校が多く、中流カンボジア人を中心に人気を集めている。教師は外国人も含まれるが、クラスによってはカンボジア人の場合もある。独自のカリキュラムを採用しているところが多く、英語で教えるローカルの私立学校といった雰囲気だ。

 中でも最近増えているのは、半日は英語で、もう半日はクメール語で授業を行う(公立学校と同じ授業内容)「半インター半クメール」式。英語を習いながら公立学校の卒業資格も取れる、現地ならではの”いいとこどり”方式である。

プノンペン、シェムリアップに2都市展開する「ニューヨーク・インターナショナル・スクール」

プノンペン、シェムリアップに2都市展開する「ニューヨーク・インターナショナル・スクール」

 シェムリアップ在住のカンボジア人女性Sさん(29歳)は、夫と6歳(小学1年生)の娘の3人暮らし。夫婦共働きで娘をローカルインター校に通わせている。学校では、午前はフィリピン人教師による英語の授業、午後は国家教程に基づくクメール語の授業。就学時間は午前8時~午後5時までだそうだ。

 Sさんにインター校を選んだ理由を聞くと「公立は半日で授業が終わるので、放課後に娘の面倒を見る人がいません。今の学校は朝から私の終業時間まで見てくれるので安心です。それに、クラスが少人数制なので教師の目も行き届くし、英語もクメール語も学べるので良いと思います。」

ローカル系インター校の魅力と課題

 学童や託児所等、子育てに対する公的サービスのないカンボジアでは、家族や親族で子供の面倒をみるのが一般的だ。しかし近年は地方から都市部に移住する若者の増加とともに核家族が増え、子育てを家族に頼れない若い夫婦が増えている。インター校急増の背景には、そんな需要への供給事情も見え隠れする。

 しかし他方、ローカルインター校の多くがここ数年の間に設立された歴史の浅い学校で、生徒の大半が幼稚園~小学校低学年だ。学年が上がるに従って人数が減り、年齢に該当するクラスが開講されず、転校を余儀なくされるケースも多々ある。また、少しでも良い、または学費の安い学校ができると親が躊躇なく転校させる傾向があるため、場合によっては学校運営が安定せず廃校の危険性も否めない。

 いずれにせよ、社会のニーズに合わせて増加の一途をたどるインター校。この傾向はまだまだ続きそうだ。

出典

・Cambodia Yellow Page
http://yp.com.kh/

・International School of Phnom Penh
http://www.ispp.edu.kh/

・カンボジア社会経済調査(2014年)
http://www.nis.gov.kh/nis/CSES/CSES_2014_Report.pdf

・Northbridge International School Cambodia
http://www.nisc.edu.kh

・Zaman International School
http://zamanisc.com/

・Cambodia Tourism Statistics
http://www.nagacorp.com/eng/ir/tourism/tourism_statistics_201508.pdf

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2006年発行、「使って便利、読んで楽しい」がコンセプトの無料カンボジア総合情報誌。ビジネス情報充実の『カンボジア情報ガイドブック』も発行している。http://krorma.com

 
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