トップ  >   プログラム  >   世界の街角ライブラリー  >   今年のジャパン・フェスティバル ― 日本企業によるチャリティバザーに注目

プログラム|世界の街角ライブラリー

今年のジャパン・フェスティバル ― 日本企業によるチャリティバザーに注目

中安 昭人

オリザベトナム株式会社代表

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|ベトナム|2016年01月14日

2日間で15万人のベトナム人が来場

 今年で3回目となる「ジャパン・フェスティバル・イン・ベトナム」が昨年11月14日、15日の両日、ホーチミン市で開催された。会場は、観光名所としても有名なベンタン市場の前にある9月23日公園。「日本の文化・伝統・技術に直接触れてもらおう」というイベントだ。

 日越外交関係樹立40周年にあたる2013年に初めて開催され、6万5000人の来場者を集めた。翌年は10万5000人、そして今回は2日間で15万人(いずれもジャパン・フェスティバル実行委員会発表の数字)と年々、来場者数は増えている。ベトナムでは、マンガ・フェスティバル(ホーチミンシティ)、日本さくら祭(ハノイ)など、通年では十指に余る日本関連イベントが開催されているが、このジャパン・フェスティバルは、その中でも最大級のイベントだ。

 同種のイベントは、いろんな国で開かれている。かき氷、焼きそばなど日本料理が食べられる屋台が並ぶのに加え、自社の商品やサービスをPRする日本企業のブースが開設され、ベトナム市場を相手にビジネスチャンスを模索する場になっているのは、このフェスティバルでも同じだ。

JBAHのブースの前に並ぶベトナム人のお客さんたち。<br />
一度に売り場に殺到すると危険なので、人数調整をしながら売り場に誘導した。

JBAHのブースの前に並ぶベトナム人のお客さんたち。
一度に売り場に殺到すると危険なので、人数調整をしながら売り場に誘導した。

ホーチミン日本商工会がチャリティバザーを開催

JBAH社会貢献委員会・高野正秀委員長(ベトナム住友商事)

JBAH社会貢献委員会・高野正秀委員長(ベトナム住友商事)

 その中で注目されたのが、今回、初めて参加したホーチミン日本商工会(略称JBAH)のブースである。JBAHでは、会員企業から商品の提供を募り、市価よりもはるかに安い金額で販売。その売り上げの全額をベトナムの恵まれない人への寄付にあてるための、チャリティバザーを行ったのである。

 そもそも、日本企業の友好団体である商工会が、どうしてチャリティバザーを行うのだろうか。JBAHの委員会の1つで、バザーの運営を行った社会貢献委員会の高野正秀委員長はこう語る。「我々JBAHは『ベトナム社会への貢献』を活動内容の柱の一つにしています。自分たちが事業を行い、生活しているベトナム社会への感謝を形にするということですね。その際のキーワードが二つあります。一つは『我々自身も汗をかく』こと。会員企業から寄付を募ってお金を集めれば、手間は省けるでしょう。しかし『単にお金を渡して終わり』という形にはしたくないのです。そしてもう一つは『相手の顔が見える支援』です。寄付金の額が多ければ多いほどいいのは事実です。しかし我々は、金額の多寡以上に、この二つのキーワードを重要視していると言っていいでしょう。チャリティバザーという場を通じて得られる、ベトナムの人々との交流も大切だと考えています」

これまでに1億円近いお金をベトナム社会に寄付

社会貢献委員会の会合の様子。定期的に会合をもって、バザーの準備を進めてきた。

社会貢献委員会の会合の様子。定期的に会合をもって、バザーの準備を進めてきた。

 バザー自体は20年前から実施されてきた。これまでに寄付した総額は「正確な数字は分からないが、1億円近くになるのではないか」(前出・高野氏)とのこと。これまではJBAHが単独で行ってきたが、20年目という節目の年を迎えるにあたり、チャリティバザーのあり方を見直してきた。その結果、開催方法を変更し、ジャパン・フェスティバルの中で行うことにしたのだという。「10万人以上の人が集まるイベントの中で開催することで、さらに大きな成果が上がるのではないか、また、より多くのベトナムの方々に、JBAHの活動を知っていただけるのではないかと考えたのです」(前出・高野氏) ジャパン・フェスティバル事務局に協力を求めたところ、チャリティの趣旨に賛同が得られ、今回の出店が実現した。

「現地への社会貢献」は海外進出のキーワードの1つに

 当日、JBAHのブースの前には、格安の値段で売りに出されている日本製品を手に入れようというベトナムの人たちで、長蛇の行列ができた。2日目の夕方には、用意された商品は完売。売り上げは2億5311万1000ドン、日本円にして140万円近くにのぼった。JBAHは、バザーだけでなく普段の活動の中でも、いろいろな形で募金を募っている。それら合わせたお金が、日本語教師の育成事業、枯葉剤被害者支援活動、孤児院支援活動等に使われる予定だそうだ。

 日本企業は、今、豊かになり始めたベトナムという市場を取り込もうと躍起になっている。一方で、JBAHのチャリティバザーをはじめ、奨学金給付事業、植林事業、学校建設事業など、ベトナム社会への貢献活動をしている企業・団体は少なくない。日本企業が、今後、ベトナムで事業を行っていく上で、ベトナム社会との共存共栄を目指した「社会貢献」は、1つの重要なキーワードになるに違いない。

ブース内では、日系企業の社員たちや、当地の日本婦人団体であるアオザイ会の会員が、<br />
ボランティアで販売を担当した。

ブース内では、日系企業の社員たちや、当地の日本婦人団体であるアオザイ会の会員が、
ボランティアで販売を担当した。

出典

・Japan Festival in Vietnam Official Web site
http://www.jfv.jp/

中安 昭人

オリザベトナム株式会社代表

ベトナム在住

 
PAGETOP