トップ  >   プログラム  >   世界の街角ライブラリー  >   セブンイレブンも参入を決めたベトナムのコンビニ市場

プログラム|世界の街角ライブラリー

セブンイレブンも参入を決めたベトナムのコンビニ市場

中安 昭人

オリザベトナム株式会社代表

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|ベトナム|2015年09月28日

コンビニ文化はまだ始まったばかり

シンガポール系のコンビニ「ショップアンドゴー」

シンガポール系のコンビニ「ショップアンドゴー」

2015年7月30日、セブン&アイ・ホールディングスが行った「2017年にベトナムで1号店を出店する」という発表は、ベトナムでも大きく取り扱われた。

ベトナムでコンビニという商業形態が生まれたのは、2005年頃とまだ歴史が浅い。それ以前にも「デイアンドナイト」「G7」など、「コンビニ」を名乗るチェーン店は複数存在している。しかし本格的なコンビニ文化の登場は、2005年8月に1号店を出したシンガポール系の「ショップアンドゴー」だと見るのが妥当だろう。同チェーンは2015年8月現在、126店舗を展開している。

これと並んで存在感があるのが、2008年12月に出店し、2015年2月に100店舗目をオープンしたアメリカ系のサークルKだ。ベトナム系のビーズマート(B’s Mart/2013年6月営業開始)も約100店舗を展開。日系は2社で、2009年12月に営業を開始したファミリーマートが72店舗、2011年12月に営業を開始したミニストップが18店舗(共に2015年7月末現在)となっている。基本的にすべて24時間営業だ。

カフェ文化の延長線上にあるコンビニ

ファミリーマート

ファミリーマート

日本では、かつての「あいててよかった」というキャッチコピーにもあるように、コンビニの大きな存在意義は「24時間営業」だろう。しかし総体的に夜が早いベトナムの場合、24時間営業していることには、あまり意義を感じない。私の周りのベトナム人に聞いてみると、コンビニの魅力は「イートインコーナー」だ。特にサークルK、ファミリーマート、ミニストップという3つのコンビニでは、イートインコーナーに力を入れているのが目につく。

例えば平面店舗の半分くらいの面積が、椅子とテーブルを配したイートインコーナーになっている店舗もあれば、1階が販売コーナーで2階が飲食コーナーとなっている店舗もある。学校の近くに開いているコンビニでは、学校帰りの若者たちでイートインコーナーは満席、ということもあるほどだ。

店によっては、その場で食事を調理して提供するところもある。こうなるとコンビニというよりファストフード店だ。そこで食べ物や飲み物を買って、イートインコーナーに持って行き、友達とお喋りをしながら、または勉強をしながら30分、1時間と店内で過ごす。ベトナムに根付いているカフェ文化の延長線上に、イートインコーナーが合致したのだろう。

ファミリーマートのイートインコーナー

ファミリーマートのイートインコーナー

徒歩5分以内で完結する生活圏

サークルK

サークルK

ベトナムでコンビニが利用されているもう1つの理由は、「身近である」ことだろう。ベトナムは元々、生活圏が狭い。例えばホーチミンシティだと、通りから枝分かれした路地の中、徒歩10分圏内で生活に必要なモノがすべて揃う。ベトナムにおける主要な移動手段であるバイクに乗れない年輩の方だと、この「路地の中の経済圏」から一度も出ずに1週間を過ごすという人も珍しくない。

そういう人にとって、「自宅から離れたところにある、夢のような大型ショッピングモール」よりも「徒歩で気軽に行ける街角のコンビニ」のほうが、遙かに実用的なのである。

食料品にしても、「買い置き」という習慣はあまり根付いていない。その日に食べるものは、朝に市場で買って、その日のうちに食べきるという生活スタイルである。週末、車で大型ショッピングモールに行って、1週間分の食料品を買いだめする、というのは、まだまだ珍しい。「買い物はこまめに」というライフスタイルのベトナム人は、店の前にバイクを乗り付けて、さっさと買い物ができる小型店舗のほうが楽だと考えるだろう。

外資にとっては難しさも残る

ビーズマート

ビーズマート

ではこれらのコンビニが、順調に発展してきたかというと、決してそうではない。例えば、日本のセブン&アイ・ホールディングス傘下のタイ・セブン-イレブンは、2013年2月に「2013年中にホーチミンシティで第1号店をオープンする」と発表している。しかし結局、これは実現しなかった。

ファミリーマートは2009年12月、日系として初のコンビニをオープンさせたが、その4年半後になる2013年6月、現地パートナーのフータイグループとの提携を解消し、ほぼゼロ店舗から再出発した。ちなみに同グループは、ファミリーマートとして営業していた約40の店舗を引き継ぎ、ブランド名をビーズマートと改称して事業を継続している。

いずれも外資が参入する際の難しさを感じさせる事例だった。

また地域性の違いも、参入の際に留意すべき点だろう。現在、コンビニのほとんどが、ホーチミンシティのみでの店舗展開である。ホーチミンシティとハノイでは、生活スタイルがかなり異なるからだろう。ハノイのほうが夜は早いし、人々の生活も保守的だ。

日々、進化するベトナムのコンビニ

ミニストップ

ミニストップ

一方のホーチミンシティのコンビニは、いろんなサービスを取り入れて、進化を続けている。例えばミニストップは2015年4月、従来のパートナーに代わり、双日と新たに提携することを発表した。コンビニとファストフード店との融合形である「コンボストア」を強化して店舗展開をする方針が掲げられている。またベトナムにも進出しているダイソー商品の取り扱いも始めた。

いずれのコンビニチェーンも、その場でソフトクリームが作れるサーバーを置いたり、日本風のおでんを販売したりと、取扱商品を増やしている。店内にATMを置く店、端末で電気料金、電話料金などの支払いができる店も増えてきた。日本のコンビニと同じように、「とりあえず、コンビニに行けば用は足せる」という万能型店舗への進化を続けている。

年々目覚ましい成長を続けるベトナムの小売業は魅力的だ。外資に対する規制も緩和されている。そんな小売業の中でも新しい業態であるコンビニは、今後、大きな可能性を持っていると言えるだろう。

出典

・ショップアンドゴー
http://shopngo.com.vn/

・ビーズマート
http://www.bsmartvina.com/

・サークルK
http://www.circlek.com.vn/

・ファミリーマート
http://www.family.co.jp/

・ミニストップ
https://www.ministop.co.jp/

中安 昭人

オリザベトナム株式会社代表

ベトナム在住

 
PAGETOP