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ウルムチを訪れて

西谷  格

フリーライター

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アジア・オセアニア|中国|2014年11月10日

しばらく前に日本から来た知人とともにウイグルへ旅行に行ってきた。ウイグルというと、一般的な日本人にはあまり知られておらず、時折ニュースで目にする「暴動が起きる場所」といったイメージを持つ人もいるかもしれない。実際、上海に住んでいる私にとっても、すごく遠い場所というイメージしかなかった。

グーグルマップで測ってみると、上海—ウルムチ(新疆ウイグル自治区の首府)間は、直線距離で約3300キロ。札幌―那覇間の約1.5倍離れている。

ウルムチ市内は完全に中国

ウルムチの街中を歩いていても、見たところ長沙、武漢、ハルビン等々の中国の中規模都市の街並みとほとんど変わらない。ただし、ほとんどの看板には中国語の漢字と並んでウイグル文字が併記されていることが特徴的だ。通りを歩いている人の半数以上は漢民族の顔立ちだが、明らかに中東系の顔立ちをしたウイグル族も目立つ。

土産物屋の店員に聞いてわかったのだが、ウイグル自治区は「漢民族」「ウイグル族」「回族」「ハサック族」の4民族が大部分を占めている。2011年国勢調査で人口構成比を見ると、ウイグル全体では漢民族41%、ウイグル族45%、回族5%、ハサック族7%となっている。だが、ウルムチ市内に限れば、漢民族が75%に達する。

他民族との不和

回族というのは、顔立ちなど身体的には漢民族同様の黄色人種だが、宗教的にはイスラム教を信仰している民族だ。ウルムチ市内では漢民族、ウイグル族、回族がほとんどで、ハサック族は目立たない。そして、筆者が実際にこの主要3民族それぞれに話を聞いてみた限りの話であるが、3者はそれぞれあまり仲が良くないに見受けられた。

近年、漢民族が急速に増えているため、ウイグル族から見れば異民族に支配されているという感覚があるのかもしれない。「20年ぐらい前は漢民族のほうがマイノリティーだったのだが…」とドライフルーツ店の男性店員は話していた。「良い仕事はみんな漢民族のもの。ウイグル族にはまわってこない」と嘆く人もいた。

漢民族による支配によって、土地開発が進み経済的に発展した面があるのは事実だろう。一方、「漢化政策」によってウイグル独自の文化が失われていっている面もある。公共バスでの民族衣装の着用や、イスラム教徒の習慣であるラマダン(断食月)を禁止しているほか、小中学校で中国語教育を行うことなどだ。ウイグルは今後どうなっていくのか、気になるところだ。

西谷  格

フリーライター

中国上海市在住歴4年

 
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