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まだまだこれから? カンボジアの歯科事情

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アジア・オセアニア|カンボジア|2014年10月06日

プノンペンでは歯科医院が増加中

コンビニより歯科医院が多い日本。それには及ばないものの、プノンペンも歩くと歯科医院が多く目につき、その数は増加傾向にある。WHOの『World Health Statistics 2012』によると、カンボジアの1万人あたりの歯科従業者数は0.2人で日本の7.4人を大きく下回る。しかし、プノンペンに限っていえば、歯科医が並ぶ通りもあり、市のコンパクトさ(東京23区をやや上回る678.5平方キロメートル)を勘定に入れると「歯科医院密度」が高いといえるかもしれない。

市内東部のカンダール市場周辺。約100メートルの間に6軒もの歯科がある

市内東部のカンダール市場周辺。約100メートルの間に6軒もの歯科がある

カンボジアの歯科治療

地上10階建てを誇るロムチャン歯科医院

地上10階建てを誇るロムチャン歯科医院

気になるのはその治療レベル。一概にはいえないものの、小規模ローカルクリニックでは、将来まで視野に入れて口内全体の健康を考える「口腔総合診断」が根付いておらず、とりあえず抜歯してしまうパターンが多い。患者側も歯科治療は高額なため(カンボジアには国民皆保険制度がない)、虫歯ができると薬局で痛み止めをもらい放置。抜歯せざるを得ないほど悪化してから歯科に行くケースが多い。歯科医療提供者・享受者ともに、歯の健康への考え方は「行き当たりばったり」の様相だ。虫歯が残ったままかぶせ物をしてしまうなど、治療の技術レベルも低い。

現在カンボジアには、プノンペンに3つの7年制歯科大学があり、以前は卒業したら即ライセンスが発行されていた。3年ほど前より国家試験が実施されるようになったものの、大学では充分な座学を経ず2年生から実習に入るのがカンボジア流。充分な知識がないまま卒業、開業に至るパターンが後を絶たないという声もある。

こうした歯科医院がある一方で、充実したサービスを提供する近代的な医院もある。市内中心部に10階建ての医院を構える「ロムチャン歯科医院」は、欧米諸国などから歯科治療を目的とした「デンタルツーリズム」の受け入れ国としてカンボジアは他国と競い合うレベルに入ったと話す。同じプノンペンの歯科医院でも、なんともレベルの格差を感じざるを得ない。

歯の健康への関心はこれから?

患者の側はどうだろうか。日本人歯科医がここ4年間シェムリアップで行った調査によると、子供の虫歯保有率は3歳93%、5歳99%、12歳98%にも上る。そのうち治療したことがある子供は3歳0.3%、5歳2.0%、12歳3.5%に過ぎない。虫歯保有率は諸外国に比べ非常に高く、成人でも20歳になって初めて歯磨きをはじめた人もいたという。

本来であればカンボジアの保健省が歯の健康に関する啓蒙を推し進めるべきだが、ミレニアム開発目標で挙げられている乳幼児死亡率引き下げやHIV/AIDSなどに対する施策の優先度が高いため、歯科関連予算をとるのが難しく、NGOが大部分を肩代わりしているのが現状となっている。プノンペンの歯科医院数が増える一方、カンボジアの「歯の健康」はまだまだこれからといえそうだ。

出典

・WHO ‘World Health Statistics 2012’
http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/2012/en/

・国際人材創出支援センター カンボジア便り 第2回レポート(2013年2月)
http://www.icbjapan.org/makino.html

・岩崎浩 水谷智宏 中山聡 宮沢裕夫  日本小児歯科学会 小児歯科科学雑誌50巻・3号 別冊  「カンボジア王国シェムリアップ州の郊外と市内の小児齲蝕と生活環境の実態」

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2006年発行、「使って便利、読んで楽しい」がコンセプトの無料カンボジア総合情報誌。ビジネス情報充実の『カンボジア情報ガイドブック』も発行している。http://krorma.com

 
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