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電動自転車に見る中国

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

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アジア・オセアニア|中国|2014年09月22日

自転車はやはり中国の象徴

一般的に利用されている電動自転車

一般的に利用されている電動自転車

 中国を象徴するものとして自転車がある。車社会に移行しつつも自転車は社会に根を下ろしているように見える。その中でも今回は普及が進む電動自転車がテーマだ。

 筆者が中国に来て日本との違いに気づかされたものが電動自転車だ。中国社会の中ではプライベート、仕事共に幅広く活躍している。現在多く使われているものは自転車というより、スクーター式のものが主流だ。また、最近ではキックボードにモーターを取り付けたものまで出てきておりタイプが多様化している。これは自転車の盗難が多いため、少し重いが折りたたんで室内やバスの中に持ち込めるよう小型化が配慮されているようだ。

 値段もそれほど高くなく、1000元~2000元(約17,500~35,000円)ほど購入できるため利用人口もかなり多く、2013年の段階で既に2億人を突破しているともいわれている。

日本との違い

 日本では「電動アシスト自転車」という漕ぐ力をモーターで補助するタイプが一般的だが、中国では漕ぐ必要がなくモーターだけで走行するタイプのものが一般的だ。このタイプは日本では原付扱いになり、免許が必要でナンバープレートとヘルメットの着用が義務付けられている。これが中国では普通の自転車と同じ扱いで誰でも乗ることができる。ヘルメットを着用する必要もない。

宅配で仕事用に使われている電動自転車

宅配で仕事用に使われている電動自転車

問題点も

無秩序の危険地帯、交差点

無秩序の危険地帯、交差点

 電動自転車には一応国によって定められた規定があり、それによれば最高時速が20km以下であること、定格出力が250w以下のモーターを搭載していることなどが定められている。しかし実際に間の当たりにする光景は規則とは全くかけはなれた姿だ。道路を走っている電動自転車は明らかに30キロ以上出ていることも多く、高出力を出す改造バッテリーが使われていることも少なくないという。

 中国では車道、自転車道、歩道があるが電動自転車がどこを走るべきかに関する解釈は曖昧だ。危険性がなければどこを走ってもよいといった感覚なため、個人の判断でどこへでも入ってゆくといった感じだ。

 日本で言えば原付が自転車道や歩道を平気で走っている光景と同じだ。それゆえに事故が多いことも容易に想像できる。いわゆるペダル式の自転車感覚で使われているため、交通ルールを守るという意識に欠け、特に交差点では信号無視で突進してくることも少なくない。そのため中国に来て怖くて道路を渡れない外国人は多いと聞く。また、夜などはバッテリーを節約するためか無灯火で走行する利用者も多く、音がしないために暗い場所では歩行者が気づかないこともある。

赤信号も気にせず突進してくる

赤信号も気にせず突進してくる

電動自転車の今後

 上海のような大都市では車が普及し渋滞が深刻になる中、電動自転車が活躍する余地は大きい。近所でのちょっとした買い物、子供の送り迎え、片道10キロ以上に及ぶ通勤、宅配の移動手段など、いろいろな場面で社会の隅々にまで入り込んでいる。

 マイカーと公共交通手段の中間に位置しながら、第三の移動手段として広がりつつある電動自転車。交通ルール意識が欠如したまま便利さと商業主義だけで走り続けている感があるのは残念なことだ。利用者がきちんとしたモラルを持つことが求められている。

出典

・中国での電動自転車利用人口
http://news.xinhuanet.com/fortune/2013-10/20/c_125566241.htm

・Tmall(中国大手ECサイト)での電動自転車に関するページ
http://list.tmall.com/search_product.htm?q=%B5%E7%B6%AF%D7%D4%D0%D0%B3%B5&type=p&style=&cat=all&vmarket=

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

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