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就職先として人気の日系企業と、ベトナム人学生を結ぶ就職フェアが続々開催

中安 昭人

オリザベトナム株式会社代表

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|ベトナム|2014年07月28日

「新卒で就職」という意識が薄いベトナム

2014年5月31日開催のホーチミン日本商工会とVJCC主催の就職フェア:<br />
ホーチミン日本商工会からは事務局長も出席した。

2014年5月31日開催のホーチミン日本商工会とVJCC主催の就職フェア:
ホーチミン日本商工会からは事務局長も出席した。

 ベトナムは9月が新学期開始なので、今がちょうど卒業シーズン。ベトナムでは「新卒で就職」という意識は低く、また大学には就職課というものがない。そのため日本のように効率よい就職活動、採用活動はできていないのが実情だ。仕事先を探すのは、ベトナムでもインターネットを使う人が増えている他、人材斡旋会社に登録している人も多い。「卒業するまでは学業に専念し、卒業してから数ヶ月かけて就職活動をする 」という人も少なくないから、就職活動期間も長い。とは言え、大学生たちが卒業する今の時期、人材が欲しい企業にとって好機であるのは間違いない。

 ベトナムで、年々増加の一途をたどる日系企業にとっても、より良いベトナム人人材を確保することは、最優先課題の1つ。一方、ベトナム人にとって日系企業は就職先として人気が高い。そんな状況を反映して、日系企業に就職したい学生と、人材が欲しい日系企業とをつなぐ「就職フェア」が近年、増えている。

ホーチミン市では日系企業の就職フェアに300人の学生が

 そのうちの1つが、ホーチミン日本商工会とベトナム日本人材協力センター(VJCC)が、2012年から毎年開催している「就職フェア」である。3回目になる今年は5月31日に開催された。

 参加したのは計10社。製造業では、オムロン、阿部製作所、ワンダフルサイゴン、チャイナ・スチール・スミキン、ユウワ、アスザック、日清製粉。人材教育・派遣業では、 エスハイとLoy&Hongo、会計・コンサルではAGSコンサルティングが参加した。

前半の企業紹介の部。各企業、限られた持ち時間の中で、それぞれの会社の魅力をアピールした。

前半の企業紹介の部。各企業、限られた持ち時間の中で、それぞれの会社の魅力をアピールした。

「時間的制約があるため、参加頂ける会社数は10社前後が限度なのですが、参加問い合わせは、倍以上の企業から頂きました」(VJCC・若林勇飛氏)
 という。来場する学生の人数も、初年度の2012年が200人少々だったのに比べて増えている。

 フェアは大きく2部に分かれて行われる。前半は企業紹介。会場であるVJCCの会議室に集まった300人を超すベトナム人大学生に、各社がアピールを行った。後半は、各企業が設けたブースでの個別相談会だ。学生は、前半の企業紹介を聞いて興味を持った会社のブースを訪れ、エントリーシートに記入する。企業側のスタッフに熱心に質問をする学生たちで、どのブースも人だかりができていた。

後半の個別相談の部。時間の許す限り、何社ものブースを回る学生がほとんどだ。

後半の個別相談の部。時間の許す限り、何社ものブースを回る学生がほとんどだ。

マネージャーレベルの人材、日本語人材は、極度に不足

 今年、ホーチミン市では、もう一つ、日本の経済産業省が主催する就職フェアも7月26日に行われた。『平成26年度中小企業海外高度人材育成確保支援事業』の一環として行われるもの。ベトナムに進出している、または進出予定の日系中小企業約20社が参加した。

 しかしベトナムが買い手市場かというと、決してそうではない。求める人材の種類によって、かなり事情に差があるようだ。人材紹介会社によると、工場労働者に関しては、月給1万5000円程度の低賃金でも、採用は比較的容易だという。一方、マネージメントスキルを持ったスタッフ、特に、日本語が話せる人材は、極度に足りない。そのため給料も高騰している。日本語検定5段階中最上級のN1レベルだと、10万円以上の希望給与を提示してくる応募者は珍しくない。現地採用の日本人の給料が10万円くらいからスタートだから、雇用コストは日本人の場合と変わらないのである。

自社で人材を育成するのが、実は近道

 日系企業と学生を橋渡しする場自体が不足しているのに加え、日本語人材の不足と、それに伴う給与の高騰。そういった状況の中で、ベトナムに進出した日系企業が人材を確保するにはどうしたらいいのだろう。よく「ベトナム人は、月給が10ドル高いだけで、すぐに転職する」といわれる。日本に比べると、転職に対する抵抗が薄いのは事実だ。しかし一方で、給料だけで動くかというと、私はそうは思わない。

 ある日系企業に勤めるベトナム人社員と話をしていたとき、彼女の給料を聞いて驚いた。明らかに相場より安い給料しかもらっていなかったからである。しかし彼女曰く、
「この会社にいると、いろいろ学ぶことが多くて成長できる。同業他社からより高い給料で誘われることはあるけれど、転職するつもりはありません」
とのこと。

 彼女のような考え方をするベトナム人が大多数だとは思わない。しかしベトナム人にとって、「自分が成長できる会社かどうか」が重要視されているのは確かだろう。日本では「中途採用=即戦力」と考えるが、社内に教育システムを持っている会社が少ないベトナムでは、それはあまり期待できない。自分の会社の屋台骨を担うベトナム人社員は、新卒で採用し、自社でゼロからしっかり育てる。そういう心構えを持つことが、遠回りに見えて実は近道ではないだろうか。

出典

・ホーチミン日本商工会
http://www.jbah.info.vn/jp/index.php

・ベトナム日本人材協力センター
http://ja.vjcc.org.vn/

中安 昭人

オリザベトナム株式会社代表

ベトナム在住

 
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