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群雄割拠、コートジボワールの新聞事情

渡邉 美樹

学生

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中東・アフリカ|コートジボワール|2014年06月09日

西アフリカにやってきた

コートジボワール、西アフリカのギニア湾に面したこの国にやってきて早くも半年が過ぎた。ほぼ赤道直下(北緯五度)のこの国は、年間を通じて最低気温が25℃を下ることがなく、季節の移り変わりはほとんどない。雨期と乾期、そしてハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漠からの砂嵐のシーズンがあるだけだ。

さて、皆さんは西アフリカと聞くと、どんなイメージを持たれるだろうか。サファリなどの天然の観光資源が豊富で、英語が通じる東アフリカと異なり、フランス語圏である西アフリカを訪れる日本人観光客は多くない。マリの情勢不安やギニアのエボラ出血熱等のニュースから、謎に包まれた危険な地域、という印象を持つ方も多いだろう。渡航前の私もそうだった。

成田を飛び立ち、ドバイからガーナのアクラを経由して、日本を出て25時間、ようやく首都のアビジャンに到着したときの驚きを覚えている。アフリカらしい草地の中に立ち並ぶ、20階建て以上の高層ビル群、立派な立体交差点、けばけばしいほどの大量のネオンサインに彩られた看板広告、フランスのお店がそのまま移動してきたのではないかと勘違いしてしまうほどに立派で、品揃え豊富なスーパーマーケット。どれも筆者の想像を遙かに超えており、それが一堂に会した様は、立派に「大都会」であった。(写真は当地の高級ホテルのプール。右手奥に立ち並ぶのが「アフリカのマンハッタン」とも称される高層ビル群)

もちろん日本人が想像する「アフリカ」らしい場面もある。停電や断水も(アフリカの他の地域に比べればほとんどないと言ってよいレベルだが)あれば、家のあちこちが老朽化によって次々と壊れ、修理工を呼んでもなかなか来てくれない。ローカルの市場では毎回値段交渉を余儀なくされ、毎日のこととなると結構くたびれる。また2011年まで内戦状態にあった同国では、道の穴や銃痕らしい壁の傷も多く、先の内戦の激しさと復興の難しさを思い知らされる。

そんな苦しみがあったことが信じられないほどに元気に笑い、色鮮やかな現地服を身にまとった人々が行き交うこの街の魅力とエネルギーを、今後数度にわたってご紹介したいと思う。

群雄割拠の新聞模様

コートジボワールの朝は早い。八時半ともなれば官公庁は窓口を開けるし、メイドや庭師に至っては七時頃から働き始めている。

当地アビジャンに一体新聞が何紙あると思われるだろうか?不定期に休刊したりするものがあるため、正確な数は不明だが、少なくとも筆者が渡航した2013年秋からは常時14~16紙が刊行されている。東京で読める新聞媒体の数を考えると、これがいかに多い数字かおわかりになるだろう。朝になると、街のあちこちに朝刊の一面だけが貼り付けられたベニア板が並び、街行く人たちはその前に集まってその日のニュースを眺めている。気になる記事があれば、ベニア板の横に控えた売り子に声を掛け、購入するという仕組みだ(写真は今年一月の安倍総理訪問の際のもの)。

最大手のFraternite Matinはウェブ版も整備されている(http://www.fratmat.info)が、インターネットへのアクセスがそれほど一般的でない当地では、まだまだ紙媒体が幅をきかせているようだ。紙は厚くガサガサとしていて、印刷もお世辞にもいいとは言えない。一度誤って濡らしてしまったら、インクが溶け出し、大変な目にあった。

コートジボワールの成人識字率は56.9% 、サブサハラ地域の成人識字率が59.1% 、全世界の成人識字率が84.1%であることを照らし合わせると、然程高いとは言えない。それでも朝になるとベニア板の前が人でごった返すのは、新聞の内容の面白さになるのではないかとにらんでいる。何が面白いかと言うと、日本で言うところの「マスコミの論調」のようなものがほとんど見られず、新聞同士が批判し合ったり、ある紙の報道の裏話が別紙によって暴露されていたりする。多種多様な意見と自由な報道という意味では、ある意味非常に健全な姿であるように思う。

全てがフランス語で、英語紙がひとつもないことにもまた驚かされる。当地の最高級ホテルであっても紙媒体のFinancial Timesが入手できるのは二日後とも聞く。とは言え、自国語のみでこれだけ豊富なニュースが手に入るというのは、羨ましくもある。

内戦からの復興が進み、欧米のビジネスマンが徐々に戻りつつあり、まさに「ルネサンス」の様相を呈するコートジボワールの今後にご期待頂きたい。

渡邉 美樹

学生

ロンドン1年在住、コートジボワール約半年在住

 
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