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安全第一 上海における子供の通学

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|中国|2014年05月14日

親の迎えが原因で交通渋滞

 上海の小学校は下校時間になると混雑する。その顔ぶれはというと、子供を迎えに来た親や祖父母などの家族の人たちだ。徒歩で来る人、電動自転車で来る人のほか、最近ではマイカーで迎えに来る家族もあり、道路が混雑することもある。これは中国では一般的な光景のようだ。

子供たちの通学スタイル

 上海の子供たちは、家の近くの学校に通うのが一般的だが、最近は区をまたがって遠方まで通う子供が増えているという。評判のよい学校や、親などが学校関係者と知り合いなど人間関係でつながっているところを選ぶケースが増えている。通学は徒歩、自転車、マイカーなど家庭によってまちまちだが、ほとんどの場合、家族の誰かが毎日送り迎えをする。

下校の様子。小学生はほとんどがこのように親と一緒に帰宅する

下校の様子。小学生はほとんどがこのように親と一緒に帰宅する

安全に対する認識の違い

 日本だと集団登校が一般的で、特別な理由がない限り家族の誰かが毎日付き添うということは希だろう。中国人に聞いてみると子供の安全に対する感覚はピリピリしている。中国では子供が誘拐や人身売買に巻き込まれることがあり、自分で迎えに行かないと気が済まないとほとんどの親が考えている。

 これ以外に、交通事情から来る安全の問題がある。マナーの悪い運転に巻き込まれて子供がケガをしたり亡くなるケースが報告されている。中国では子供の保護ということになれば、学校へ完全な信頼を寄せている親は珍しく、子供の保護に対する意識は恐らく日本以上に高いものがある。一人っ子政策が取られてきた中国では、子供は親の将来を養ってくれる大切な宝という考え方が定着し、万が一子供に何かあってもらっては困るというのもそれを助長させている。

家族にのしかかる子供の保護

 中国では親は共働きである場合が多い一方、家族の宝物である子供の送り迎えは大切な仕事だ。親は自分で仕事のやりくりをつけて迎えに行くか、祖父母、親族などに頼む場合がほとんどだ。生活水準が高くなっている上海などの大都市ではマイカーが普及し、車で迎えに行くという親も増えている。しかし、近くに親が住んでいたり、専業主婦などであればよいが、外地出身者や、身内に頼ることの難しい共働きの世帯にとっては負担も決して軽くはない。

家族以外のオプションは?

 安全な登下校といえば、アメリカで発達しているスクールバスが思い浮かぶ。当地でも黄色の車両で安全点灯ランプがついたアメリカに似た車両が運行されている。政府による安全な車両、運転手の資格などの新規定は2013年9月から始まったばかりだ。これらの大半が一部の私立学校やインターナショナルスクールに集中しているため、安全なスクールバスの恩恵を享受できるのは、比較的裕福な一部の生徒に限られるとみられる。上海市の小学生約79万人のうち、ほとんどの生徒は家族に送り迎えをしてもらっている。

 生徒が集団で登下校したり、地域の住民がところどころ立ったりするのを日本で見て来た筆者からすると、定年退職をして働かない人口が増えている上海でも、もう少し地域ぐるみでボランティアが出てきてもよいのにと思ったりもする。

スクールバスは新しく車両が変わったが、ほとんどが私立校やインターナショナルスクールに集中している

スクールバスは新しく車両が変わったが、ほとんどが私立校やインターナショナルスクールに集中している

出典

・中国でスクールバス規則厳格化へ
http://www.shanghaidaily.com/national/China-toughens-school-bus-rules/shdaily.shtml

・上海市の小学生数(上海市教育委員会)
http://www.shmec.gov.cn/web/xxgk/rows_list.php?node_code=30311

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

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