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環境問題と春節の花火

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|中国|2014年03月10日

春節と花火

大晦日の翌朝は爆竹のゴミが散乱し、あちこちで道路端が赤くなる

大晦日の翌朝は爆竹のゴミが散乱し、あちこちで道路端が赤くなる

中国の春節に欠かせないものとして花火(爆竹を含む)がある。筆者も幾度か春節を中国で過ごしたことがあるが、花火は大晦日の夕方頃から徐々に始まり、時計の針が午前零時を回る頃にピークを迎える。噂には聞いていたものの、その凄まじさには驚いたのを覚えている。テレビの音は聞こえなくなり、窓を開けて外を見るときな臭い煙だらけで周りが見えない。これが私の住む街だけではなく、中国のあちこちで起こっているのだから、その音が宇宙にまで響くのではないかというくらいの賑やかさだ。

花火に待った

ところがこの花火、今回は全てが歓迎ムードというわけではなかった。2013年の中国は環境問題で沸いた年だった。そんな中、春節直前の12月には中国各地の主要都市で空気の質が2013年中最悪になったという報告が当局(環境保護部)からされた。大量の花火が一度に消費される春節は空気の悪化が懸念され、首都北京では花火販売店に対して空気の状態によっては販売を停止するよう呼びかけるとともに、花火の使用に対するリスク担保を数万元単位で販売店に提供させるなど、文明的な花火使用を地元政府が市民に呼びかけた(これは中央政府のお膝元ということもあり、姿勢を見せるという意味合いもあろう)。

花火を売る店。日本では売られていないような大きな花火も売られている

花火を売る店。日本では売られていないような大きな花火も売られている

上海の大晦日は?

筆者は2013年の大晦日を上海で過ごしたが、爆竹や花火は例年通りだった。爆竹自粛の件はもともと聞いていたが、実際には際立って変わったということはなかった。そもそも中国人にとって春節の花火は魔よけとともに幸を迎えることを意味しており、中国の伝統と結びついている。従って春節の光景になくてはならない行事と思っている中国人は多いだろう。筆者も個人的には春節の花火に中国の文化を感ずるため、うるさくない大晦日というのはあじけなく、文化が感じられない。

花火は環境悪化か

もともと、大気汚染の問題は増加した自動車、電力消費の増加による火力発電所、工場などからの持続的な排出ガスによるところが大きく、たまたま環境問題が2013年中に大きく取り上げられたため、春節の花火にまで影響が飛び火している感がある。大気汚染の問題は人口の都市集中化などが複雑に絡み、実際には地域によってかなり温度差があるため、伝統的に長きに渡って庶民の間で行われてきた1年にたった1回の行事を単に環境悪化として一般化してしまうのは残念な気がする。

出典

・中国気象局:春節の花火・爆竹の使用を控えるよう呼びかけ
http://j.people.com.cn/94475/8525797.html

・December worst air quality month of 2013
http://europe.chinadaily.com.cn/china/2014-01/25/content_17257520.htm

・煙霧橙色警報発令時、花火・爆竹は一時販売停止 北京
http://j.people.com.cn/94475/8463605.html

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

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