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あれから2年、中国高速鉄道に乗ってみる。

西谷  格

フリーライター

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アジア・オセアニア|中国|2014年01月06日
中国高速鉄道「和諧号」

中国高速鉄道「和諧号」

中国の高速鉄道というと、やはり思い出すのは2011年7月23日の列車追突事故だ。車内に犠牲者が残っている状態で車両を地中に埋めはじめた様子を見て、違和感を感じた。
 事故当時、私(筆者)は現場近くの住民に話を聞いたが、事故直後ですら「事故は起きるものさ」「自動車の方がよっぽど危ない」「経済発展の過程ではこういうこともあり得る」など、事故で人命が失われたことを軽視するような見方がほとんどだった。自分の家族や友人が事故に遭わない限り、どうしても“他人事”としか受け止められないのかもしれない。
 そんなわけで、事故から2年以上経った今では、事故は完全に風化している(させられている?)。最近の高速鉄道関係の報道では、「世界が認める中国の高速鉄道技術」と見出しを打ち、「世界の人々は、今や『高速鉄道と言えば中国』と認識している。レール、橋梁、トンネルなど、あらゆる技術で世界をリードしている」、「中国の高速鉄道は、追突事故の心配は一切ない」などとうたっている。
 2012年末に開通した北京と広州をつなぐ「京広高速鉄道」は、開通から半年で4500万人(1日あたり25万人)の乗客数を記録。高速鉄道は中国発展の象徴として歓迎されており、人民たちは何の心配もなく使っているのだ。

キップ売り切れ時の対処法

早くて、便利。

早くて、便利。

確かに、中国国内の移動に高速鉄道は非常に便利だ。空港利用だと、どうしても市内中心部に移動するまでの時間をロスするが、高速鉄道ならダイレクトに都市を結ぶ。
 利用法は日本の新幹線とそれほど変わらないが、座席は全席指定席で立ち席がなく、事前にネットか駅の窓口で購入する必要がある。窓口での販売は、出発時刻の15分前には販売を閉め切ってしまう。「鉄道のキップは前もって買っておくもの」という概念があるようだ。
 窓口でキップを買うと、「売り切れ」と言われて買えないこともある。私も以前、それで列車の時刻をずらすハメになったのだが、その後ちょっとしたテクニックを発見した。
 例えば上海から北京までのチケットが売り切れだとしたら、途中駅まででいいからとにかく買ってしまえば良いのである。
 上海―北京間には、南京、徐州、済南、天津などいくつか駅がある。そのどこかまでのキップが手に入れば、列車には乗れる。車中では途中から「席なし」になってしまうが、空いている席なら座っても良い。混雑していると立つことにはなるが、どうしても所定の時間に目的地に行きたい場合は有効だ。

車両で分かれる富裕層と一般庶民

 中国の格差社会を反映してか、高速鉄道の車中も座席ごとに格差が激しい。日本では「一般車両」と「グリーン車」の2種類しかないが、中国では「二等席」「一等席」のほかに、「商務席」というものがある。いわば「特等」のような別格的高級座席で、価格は二等の2倍近い。ゆったりとしたカプセル型のシートで、先頭車両のため乗客の往来も少なく静かだ。飛行機のファーストクラスのような感覚で、乗務員が飲み物やスナック菓子などを無料でサービスしてくれる。
 私は一度だけこの「商務席」に乗る機会があったが、とにかく快適であった。フトコロに余裕があるなら、なかなか悪くない選択かもしれない。もっとも、先頭車両なので追突事故が起きたら真っ先に死んでしまうかもしれないが……。

商務席(左)と二等席(右)

商務席(左)と二等席(右)

出典

・京広高速鉄道の旅客量が半年で4500万人を突破
http://www.gd.xinhuanet.com/2013-06/27/c_116310868.htm

西谷  格

フリーライター

中国上海市在住歴4年

 
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