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ロンドンは、今日も不味いか?

渡邉 美樹

学生

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欧州・ロシア・CIS|英国|2013年12月09日

不味いものの代名詞として挙げられる英国の食事に、筆者も渡航前は戦々恐々としていた。一年間暮らしてみて、英国の食事が不味いというのは半分は紛れもない事実だが、半分は嘘だと思うようになった。

ガストロパブの流行

ガストロパブの様子

ガストロパブの様子

英国と言えば昔風のパブ、それも薄暗くて、スーツ姿の男性ばかりが集う場所、というのは過去のイメージになりつつある。きちんとしたテーブルを並べ、料理に重きを置いた「ガストロパブ(美食パブ、ガストロとはgastronomy<美食>の略称)」が増え始め、平日はベビーカーを押した母親たちがランチメニューを前にそこで井戸端会議に花を咲かせ、土日には若いカップルたちがのんびりとブランチを楽しむ、新たな社交場となっている。メニューも脂ぎったフィッシュ&チップスだけでなく、フレンチやエスニック料理の要素を取り込んだものまで幅広い。

食の都・ロンドン

ロンドンはいまや、「世界で最も多様な料理が、世界で最も現地に近い水準で食べられる街」になりつつある。移民の増加に伴い、インド料理はもちろんのこと、Hoxtonのベトナム料理、Edgware Roadのレバニーズ料理など、チャイナタウン以外のエスニック料理の名所が、至る所に形成されている。友人であるパリ生まれのフランス人も、「食事の選択肢の幅という点では、フレンチ一辺倒のパリにロンドンは圧勝している」と認めていた。
先日発表された「Michelin Guide Great Britain & Ireland 2014」で、星を獲得したレストランの件数は167件と、2013年フランスの596件(2014年版は未発行)には及ぶべくもない。しかし、フランスは2012年の594件からほとんど増加していないのに比べ、「Michelin Guide Great Britain & Ireland 2012」の151件から約10%増加しており、ロンドンでも比例して星の数が増加していると思われる。

ロンドンの自炊事情

有機食材や新鮮な野菜を売り物にするグローサリー

有機食材や新鮮な野菜を売り物にするグローサリー

しかしながら、噂の「英国料理」には、イギリス人家庭で出会うことが出来る。ホームステイ先で、焼いただけのパサパサの鶏ささみに、缶詰のグリーンピースだけ、という泣く子も黙る英国メニューに遭遇したという話は枚挙にいとまがない。ただ、近年ではジェイミー・オリバーなど、家庭や学校での食事を改善しようと訴えるシェフが現れ、BBCでも料理番組が多く放映されている。セントラル・ロンドンでは週末になると駐車場や教会前のスペースを利用してFarmer’s Marketと呼ばれる市場が開かれ、新鮮な野菜や肉、ジャムなどをセントラルに居ながらにして手に入れることが出来る。筆者がロンドンの名所として友人たちに薦めているBorough Marketは週末にもなると、歩くのも一苦労の混雑だ。また街角にも、有機食材や新鮮な野菜を売り物にするグローサリーが増えている。

しかし2013年に至ってなお、ロンドンの食事というと顔をしかめる人が少なくないのは、旅行者がアクセスできる安い・早い・分かりやすい食事のチョイスが少ないからではないかと筆者はにらんでいる。東京であれば牛丼やおにぎり、立ち食い蕎麦、パリであればバゲットサンドやその他パンなど、ワンコイン以下で美味しい食事が出来る。一方で日本人が満足できるロンドンのワンコインの食事となると、マクドナルド等を除くと筆者もせいぜいケバブくらいしか思いつかない。記録的なポンド高も手伝い、最近の平均的なパブでの食事は£10(日本円にして1600円程度<11月17日現在>)前後とされている。現在の勢いのままに、ロンドンが若者や旅人にも優しい食の都へと成熟してくれることを期待している。

渡邉 美樹

学生

ロンドン1年在住、コートジボワール約半年在住

 
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