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中国のスタバは暴利?

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

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アジア・オセアニア|中国|2013年11月18日

スターバックス暴利報道

スタバでパソコンやipadを持ち込んで自分の時間を過ごす人たち。

スタバでパソコンやipadを持ち込んで自分の時間を過ごす人たち。

2013年10月22日、中国中央電子台(CCTV)はスターバックス(以後、スタバと呼ぶ)を取り上げた。北京のスタバで売られているコーヒーが世界の他国よりも高く、暴利をむさぼっているのではないかと報じたのだ。
 因みに、中国のスタバではミドルサイズのカフェラテは1杯27元だ。これに対して、アメリカ、イギリス、インドの同等の商品を人民元で比較した場合、アメリカのシカゴでは19.98元、ロンドンでは24.25元、ムンバイでは14.6元とのことだ。

中国人の平均所得はアメリカやイギリスなどの先進国よりも低いのに、コーヒーがこんなにも高く設定されるのは不合理だという論調だ。

スタバとマックカフェ

おしゃれになったマックカフェとその店内。店内はにぎやかだが、どちらかというとカジュアル派向け

おしゃれになったマックカフェとその店内。店内はにぎやかだが、どちらかというとカジュアル派向け

筆者は個人的にスタバをよく利用する方だ。実はこの原稿もスタバで書いている。筆者にとって、スタバのカフェラテ27元は決して安くはない。しかしそれでも足を運ぶ理由は、そこに行けば愛想のよい店員が迎えてくれて、落ち着いた空間でくつろげるからだ。

カフェといえばマクドナルドの展開するマックカフェを思いつく。中国のマクドナルドは数年前から店内を改装し、少しお洒落になった感がある。仕切りもできてプライベート感覚を醸し出している。19元のカフェラテは見栄えも決して悪くない。値段だけで言えばマックカフェを選びたいところだが、カフェといってもハンバーガーショップに附属しているため、人の入れ代わりが激しく、くつろぐには向かない。

以前、スタバで仕事をしている中国人客がお昼頃にマクドナルドのハンバーガーと(スタバではなくマックの)コーヒーをデリバリーでスタバの店内まで注文し、店員に注意されていた光景を思い出す。この滑稽ともいえるシーンはスタバの居心地のよさを象徴しているように思う。コーヒーは高いから買いたくないが、場所はそこがよいと。

中国で威力を発揮するスタンダードなサービス

こちらは、江蘇省溧陽の高速鉄道駅構内にあるスタバ。こんな地方都市までと驚きだが、新幹線を待っている間、ゆっくりと時間を過ごせる。

こちらは、江蘇省溧陽の高速鉄道駅構内にあるスタバ。こんな地方都市までと驚きだが、新幹線を待っている間、ゆっくりと時間を過ごせる。

2013年10月現在、中国60以上の都市に1000店舗以上を持つまでになっている。店員の対応、店の雰囲気、清潔さ、ネット環境、食品や紙コップ安全性など、総合的なサービスの面でスタバはどこにいっても一定の水準を保っており、地方都市に出張などで行っても安心して入ることができる。

中国は上海、北京、大連、青島、シンセン、広州など沿岸部の比較的経済発展が進んだ都市と内陸都市との間ではサービス意識の面ではかなりの隔たりがあり、内陸に行けば行くほど劣悪なサービスに甘んじなければならないことを経験する人は多い。都市だろうが田舎だろうがスタンダードなサービスが比較的当たり前の日本ではあまりピンとこないかも知れないが、「安かろう悪かろう」は地方に行けば行くほどひどくなる。これはサービスだけではなく、時には使われているものの安全性を心配しなくてはならないこともある。

価格は何が決めるか

このような環境の中で、「ソフト面でもハード面でも安心して」享受できるサービスに対する需要が中国では貴重なもので、それに人はお金を払う用意があるという単純な経済原理に行き着く人は多いのではないだろうか。中国でのスタバはどちらかというとハイエンドなマーケット(と言ってもちょっと背伸びをすれば手の届く)でそれを実現しているように思う。

今回のスタバ暴利報道を見ていて不思議だったのが、それぞれ経済環境の違う世界各国のスタバのコーヒーの値段だけが取り上げられ比較の対象にされていたということだ。店舗家賃の高騰、フランチャイズ経営方式の採用、ロジスティックスによる関税など、それはそれで高価格の原因だろうが、では何故それにもかかわらず、店舗が拡大し続けているのだろうかということには何も触れられていない。

今回の報道に対して、中国版ツイッター「微博」はスタバを応援する人たちが多かったという。変動期にあるからこそ、中国の人たちはマーケットを敏感に読み取っているといえる。世論に大きな影響を与えるメディアだからこそ、コーヒーが高すぎることでスタバを批判するよりも、ではもっと安い価格でスタバに対抗できる土壌をどのように育てればよいのかに目を向けるべきではないかと思う。

出典

・中国スターバックス・コーヒー
http://www.starbucks.cn/

・Chinese pay higher price for Starbucks coffee
http://www.shanghaidaily.com/national/CCTV-Chinese-pay-higher-price-for-Starbucks-coffee/shdaily.shtml

・A sip of Starbucks takes foam out of the price furor
http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2013-11/02/content_17075665_2.htm

・Starbucks under fire in China over its coffee pricing policies
http://www.bbc.co.uk/news/business-24619544

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

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