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ロンドンのgentrification(都市再開発)/イーストサイドのいまむかし

渡邉 美樹

学生

プロフィール詳細

欧州・ロシア・CIS|英国|2013年10月21日

進むgentrification(都市再開発)

Gentrificationと呼ばれる都市再開発では、自治体がまず治安が悪いとされるエリアの倉庫や建物にリノベーションを施し、アーティストらに安値で貸し出す。アーティストらによってアトリエやギャラリー、壁画が次々と生み出され、続いて、彼等に支持されるエッジーなカフェやレストランがオープンする。そうした先進的な雰囲気に惹かれ、20~30代の独身者や若いカップルが移り住む。その頃には地域の家賃が上昇し、治安が改善するのと同時に、ミドルクラスのファミリーが移り住み、高級住宅地へと変貌を遂げていく。
特に2000年以降は、ロンドン・オリンピックに向けgentrificationが急ピッチで進んだ。オリンピックをきっかけに再開発が始まったエリアとしては、スタジアム周辺のStratfordが有名だ。建物のリノベーションは終わったが、まだ人々の移住が落ち着き始めたばかりで、お洒落なエリアとは認識されていないが、これから盛り上がると言われている。

印刷会社の倉庫がギャラリーに

かつてロンドンの印刷業者が集まっていたClerkenwellは、70年代の出版不況に伴って荒廃が進んだが、80年代以降のgentrificationにより、デザイン事務所や家具問屋が並び、いまや欧州を代表するインテリア・デザインの発信地となった。毎年9月に開かれるClerkenwell Design Festivalでは、教会や古い倉庫が即席のギャラリーへと変容する。

古い教会の庭が展示会場に(左)、教会内部の展示(右)

古い教会の庭が展示会場に(左)、教会内部の展示(右)

若者に人気のエリア・イーストサイド

Shoreditchの雑貨屋さん(上)<br />
元倉庫街のストリート(下)

Shoreditchの雑貨屋さん(上)
元倉庫街のストリート(下)

目下、ロンドンの若者の間で最も人気のあるエリアといえば、イーストサイドだろう。イーストサイドの一角、1970年代から再開発が始まったShoreditchでは、週末ともなると表通りのエスニック・ レストランで食事を済ませ、クラブへと繰り出す若者で溢れる。ヘッジファンドに勤めるドイツ人の友人は、古い倉庫を仲間で買い取り、丸一年掛けてシェアフラットへと改築した。独身男子ばかり4人が暮らすこの家は、50平米近いコモンスペースにDJ機材が設置され、さながら男の秘密基地だった。

gentrificationの問題点

一方でこうしたgentrificationは、初期の住人だったアーティストやデザイナーの居場所を奪うことにも繋がっている。前述のShoreditchは、再開発直後は非常に前衛的で、アーティストたちのみが集まるエリアで、東京で言えば少し前の下北沢のような、アングラ感の漂う街だったそうだが、最近はもうすこし大衆化・一般化し、三軒茶屋や青山のようなお洒落さのある街になった。かつてMayfair等の高級住宅地に居住していた若い投資銀行員や弁護士がこぞって住むようになり、2012年の一年間で、地価は13%も上昇 したという。この結果、一部のギャラリーは相対的に家賃が割安な都心部Fitzrovia(Oxford Circus駅北部からEuston駅までのエリア。バスや地下鉄が乗り入れておらず、zone1にしては地価が低い)などへの回帰を始めている。

出典

・Winkworth "Insight: Understanding residential property in Shoreditch." Winter 2012/2013.
http://admin.winkworth.supadu.com/php/DOCS/office/96---brochureSpot1Brochure.pdf

渡邉 美樹

学生

ロンドン1年在住、コートジボワール約半年在住

 
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