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トラックに見るインド発展への長き道のり

岩本 文彦

広告代理店、株式会社ケー・アンド・エル

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アジア・オセアニア|インド|2013年07月01日

充実が進むインドの道路網

ムンバイからプネまで車で移動した。距離は約200キロだが、時間は4時間以上かかる。ムンバイ市内は交通渋滞がひどいが、ハイウェイに入ると市内とは比較できないほどの速度で走行できる。インド政府は道路インフラの整備を進めていて、デリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタをつなぐ「黄金の四角形」と呼ばれるナショナル・ハイウェイ計画が進んでいる。ムンバイ=プネ間のハイウェイはその一環だ。
 この数年でインドの道路事情は急激によくなっている。大都市での交通渋滞は相変わらずだが、道路は次々と舗装され、全国的な道路網も充実していきている。
 世界の道路総延長のランキングを見てみると、実はインドが約411万キロで、アメリカに次いで世界の第2位(国際道路連盟(International Road Federation)2009年のデータ)。少し前の統計では中国が世界2位だったが、インドが抜いてしまった。

インドのトラックの独特な装飾

道路脇の駐車スペースでトラックの飾り付けを販売している老人

道路脇の駐車スペースでトラックの飾り付けを販売している老人

ハイウェイではインド風の装飾を施した「デコトラ」を数多く見かける。車体はかなり老朽化しているものが多いが、装飾はもはやアートだ。その見事な色使い、いかにもインド的な装飾模様。乗り物というよりも、御神輿のように神が宿った移動体という雰囲気がある。トラックはそれほどスピードを出さないが、悠然とデコトラを運転する運転手はなんだか粋に見える。
 州をまたぐ長距離トラックの場合は二人以上の運転手の乗車が義務づけられているらしい。運転席も居心地をよくするために、思い思いにデザインされている。どうしてトラックをデコレーションするのか、ハリヤナ州グルガオンを走るトラックの運転手へインタビューしてみた。もちろん英語は通じないので、知り合いに通訳を頼んだ。
 「かっこいいトラックを運転するほうが気分がいいからだよ。それと厄よけの意味もあるね」との答え。また、ペイントは州境の道路脇でやってくれるところがあるらしい。

 インド新聞5月8日のニュースによれば、インドのトラック運転手は正規雇用が12万人、非正規雇用が100万人、トラックの運転手の数が不足していて、インドにあるトラックの1割にあたる約200万台が使用されていないとか。過酷な労働条件のため、なり手が減っているらしい。運転手の確保が業界の問題となっている。
つらい仕事を乗り切るためか、トラック運転手のスピリットには神頼みの姿勢が垣間見える。道路自体は改善されても、ロジスティックス改善のロードマップは、神の手に委ねられているのかもしれない。

装飾を施したインドのデコトラ

装飾を施したインドのデコトラ

出典

・2009年道路総延長世界ランキング:
http://www.globalnote.jp/post-3802.html

・国土交通省国土交通政策研究所「インドの物流事情に関する調査研究」(2012年3月)
http://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/

・「トラックドライバー不足、深刻な問題に」(インド新聞 2013年5月8日)
http://indonews.jp/2013/05/post-7067.html

岩本 文彦

広告代理店、株式会社ケー・アンド・エル

アジア・インド担当20年

 
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