トップ  >   プログラム  >   世界の街角ライブラリー  >   ネット王国中国に見るイノベーションのジレンマ

プログラム|世界の街角ライブラリー

ネット王国中国に見るイノベーションのジレンマ

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|中国|2013年04月29日

無料メッセンジャーアプリの台頭

微信画面。テキストや画像が簡単に送受信できる

微信画面。テキストや画像が簡単に送受信できる

日本ではあまり知られていないかも知れないが、中国には「微信」という無料メッセンジャーアプリがある。中国の大手IT企業「騰飛(テンセント)」が開発したもので、これを使っているユーザーは3億人以上。ネット環境さえあれば、このアプリを使って、カフェ、地下鉄、道端など、どこからでもテキスト、写真、音声までもが送れる。操作が簡単なため、多くの人に支持されている。しかも、これらのサービスは全て無料だ。

音声送信はボタンを押して携帯に話しかけるだけ

音声送信はボタンを押して携帯に話しかけるだけ

2012年12月現在、中国のネット人口は5億6400万人。昨年と比べて5100万人の増加を記録し、中でも携帯やタブレットなどからのアクセスが20%近い伸びを示している。インターネット人口が急激に伸びる中国でネットを利用したこういったサービスが出てきたことによって携帯通信キャリアが提供していた携帯電話からのショートメッセージはすっかり昔のものになってしまった。音声も送れるため、携帯通話のシェアも取っているというわけだ。

悩む携帯通信キャリア

しかし、ここに来て中国の携帯通信キャリアが「待った」をかけようとしているというニュースが話題になっている。つまり、微信を有料にするようIT管轄当局に折衝をしているとのことだ。「データ通信量の急激な増加による回線にかかる負担のメンテ」とのことだが、それがどれほどのものかは実際のところ明らかにされていない。ただ、有料化論が大きな論議を呼び起こしているのは事実だ。
 携帯通信キャリアのサービスが微信に取って変わられたとしても、テキスト、写真、音声など、微信利用者によるデータ通信量が増えれば増えるほど彼らも得をするのである。こういった事実を前に、微信を有料化することは、これまで彼らが享受してきた独占を擁護し、利用者のためになるイノベーションを妨げるものだとしてこの問題を取り上げるメディアもある。

解決の行方

 携帯電話が高機能化し世界の多くの国々でコミュニケーションの方法が急激に変化する中、中国でもビジネスモデルのあり方が問われつつある。ニュースの街角インタビューでは「有料化されればもう利用しない」という声の他に「有料化もいいが金額による」とい声もある。最終的にその判断は市場に委ねるのがよいのだろう。

Marc Mizuno

中国上海市(在住歴8年)

情報誌制作

 
PAGETOP