トップ  >   プログラム  >   世界の街角ライブラリー  >   世界に張りめぐらされたインド人ネットワーク

プログラム|世界の街角ライブラリー

世界に張りめぐらされたインド人ネットワーク

岩本 文彦

広告代理店、株式会社ケー・アンド・エル

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インド|2012年12月03日

香港におけるインド人集積回廊

香港のチョンキン・マンションの入り口は、ちょっと入るのを躊躇したくなる雰囲気

香港のチョンキン・マンションの入り口は、ちょっと入るのを躊躇したくなる雰囲気

香港のネイザンロードにあるチョンキン・マンション(重慶大厦)。沢木耕太郎の『深夜特急』の旅の出発点となるバックパッカーの聖地。ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』(原題:『重慶森林』)で、金城武が潜入する怪しげな雑居ビル。上の階には安宿がいくつも入っているが、地上階とその上の階は、いきなりインドになっている。
 入り口付近は怪しげな人物がうろうろしていて、ちょっと怖そう。しかし、勇気を出して潜入してみると、迷路のような通路の両側に、小さな店舗がひしめきあっている。インドのスナックの売店、インド料理のレストラン、インドの食材や雑誌を売っている店、携帯電話やインド映画のDVDを売っている店などがいっぱい。インド人の、インド人による、インド人のための世界がそこにある。

世界各地に広がる印僑のネットワーク

チョンキン・マンションの中には、インド人向けの食材を売っているお店がある。

チョンキン・マンションの中には、インド人向けの食材を売っているお店がある。

インドには在外インド人省(Ministry of Overseas Indian Affairs)という省庁まであるのだが、ここの2012年5月の統計では、全世界に散らばっている印僑の数は約2191万人。華僑は約5000万人と言われているので、それに比べれば少ないが、印僑はアジアだけでなく、欧米、中近東、アフリカなど広大な地域に広がっている。
 インド以外のインド人は、NRI (Non-Resident Indians)と、現地の国民となっているPIO (Person of Indian Origin)とに別れるが、上記の数字はこれの両方を足したものである。実に数多くのインド人が世界各地で活躍しているのがわかる。

水と油のインド人と中国人

中国本土にいるインド人は、約1万5千人。日本は2万2千5百人のインド人がいるが、それに比べれば非常に少ない。ところが、香港には中国本土を遥かに凌ぐ3万7千人以上のインド人がいる。もともと英国領で、インド人にとっては住みやすいのだろう。
 インドも中国もお茶の産地。世界一位と二位の巨大人口の国。そして、両方とも一筋縄ではいかない商人の国。その昔、西洋列強が覇権を争って植民地の拡大競争をした時代があったが、今は印僑と華僑が戦略的にネットワークを拡大している。それは、遥か先を読んで布石を打っている囲碁のようでもある。100年後の世界史の教科書が、21世紀のインドについてどのように表記しているのか見られないのが残念だ。

異国にありながら、インド式生活スタイルが可能になっている

異国にありながら、インド式生活スタイルが可能になっている

岩本 文彦

広告代理店、株式会社ケー・アンド・エル

アジア・インド担当20年

 
PAGETOP