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マレーシアの首都クアラルンプールの鉄道インフラ急改善の裏には中国の影響?

高橋 大地

現地無料日本語情報誌「パノーラ」

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アジア・オセアニア|マレーシア|2012年10月29日

クアラルンプールにおける交通インフラとその現状

KTMの旧型車両

KTMの旧型車両

マレーシアは基本的に車社会である。首都クアラルンプールの場合でも、公共交通手段として最も多いのはバス。大手バス会社の「RapidKL」は市内や郊外含めて165路線あり、市内中心部のバス停では2~3分毎に様々な行き先のバスがひっきりなしに行き交い、市民の足として広く利用されている。しかし鉄道の数はLRTと呼ばれる通勤型列車2路線、KTMコミューターという近郊列車2路線、市内中心部を走るKLモノレール1路線の合計5路線のみで、市民の間ではかねてから鉄道インフラの向上が叫ばれていた。

KTMの悪評

混雑時のKTM

混雑時のKTM

とりわけKL市民の間で評判が悪かったのが近郊列車のKTMである。KLのほぼ中心部を走っているにもかかわらず、ラッシュ時でも1時間に3~4本と本数が少なく、ほとんどの電車が3両編成だったため、ラッシュ時はドアが開いても車内が既にすし詰めで乗れないという事も日常茶飯事。その使い勝手の悪さは地元新聞でたびたび批判記事が書かれるほどであった。筆者が利用した時は車で30分で行ける場所でも、KTMの場合は1時間半もかかった。しかもラッシュ時以外は1時間にほぼ1~2本に減るため、待ち時間が非常に長い。また、時刻表が正確でなく常に遅延状態。しかもたまに次に発車される電車がキャンセルされたこともあった。

KTMの改善の裏

新車両の車内

新車両の車内

そんな状況だったKTMに今年3月、30編成以上もの新車両が導入された。まず車両数がそれまでの3両編成から6両編成になり、収容乗客定員数も400人から1,000人へ増加。また、列車そのものの加速能力が上がったため、運行本数も朝夕のラッシュ時はほぼ15分に1本の割合に増やすことができ、利用者の利便性が劇的に向上。それまでのKTMのイメージを一新させるのに充分なものだった。列車の製造元は「中国南車株洲電力機車有限公司」という中国の鉄道車両メーカーだが、乗り心地そのものは最新車両らしく確かに快適であった。しかし車両に併設しているテレビモニターで延々と自社のプロモーションムービーを流していたのはいささか閉口した。露骨とも言えるやり方で「中国発の最新技術」をアピールしており、マレーシア市民が利用している車両の光景としては異様な気がした。筆者が思うにはこういう点にも、マレーシア独自の技術発展が成し遂げられていない現実が垣間見える。当地のインフラを改善させているのは評価すべきだが、本来であれば先進国が技術供与をして、マレーシアなどその国独自の鉄道製造技術を向上させるための長期的な支援をしていくのが理想ではないだろうか。そういう事にこそ日本が率先して協力すべきだと思うがいかがだろうか。

今年導入された新車両

今年導入された新車両

出典

・Rapid KLバスの情報元
http://www.myrapid.com.my/bus/overview

・新KTMの乗客定員数(1000人)と運行本数(15分に1本)
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2012/7/9/nation/11598942&sec=nation

高橋 大地

現地無料日本語情報誌「パノーラ」

マレーシア・クアラルンプール

在マレーシア歴2年

 
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