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インドネシア、ワクチン接種体験記~外国人に一苦労の情報収集

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴19年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2021年08月11日

 6月下旬以降、インドネシアではデルタ株によるとされるコロナ感染者が急増している。7月14日から17日までは一日の新規感染者数が4日連続で5万人を超えた。約1万8000人(2020年10月現在*)の在留邦人の間では、日本に帰国してワクチン接種を予定する人、インドネシアに残っての接種を決める人など、それぞれの仕事や環境、考え方により選択が分かれている。そのような中、筆者はインドネシアでワクチン接種をする選択をし、6月21日にジャカルタ市内で1回目の接種を受けた。

感染者急増、一日2万人超える

 インドネシアでは、今年の1月から2月にかけて、1日あたりの新規感染者数が1万人を超える感染のピークを迎えたが、それ以降は5000~6000人台で推移していた。しかし、4月末頃から変異種による感染の症例が報告されるようになり、6月中旬以降、新規感染者数が再び1万人を超え始めた。
 筆者が接種を受けた6月21日の新規感染者数は1万4500人あまりで、企業や在留邦人の間では不要不急の外出を控える動きが見られ始めた時期だった。その後、1日の新規感染者が2万人を大きく上回る日が出てくるようになり、インドネシア政府は7月3日から20日まで、感染者数が特に多いジャワ島とバリ島でPPKM Darurat(緊急活動制限)を実施した。
 ジャカルタでは市内の中心の通りや周辺地域への高速道路の一部が通行止めとなり、基盤産業以外の業種の100%在宅勤務、学校の授業はオンラインのみ、ショッピングモールは閉店、レストランは宅配及び持ち帰りのみ、国内線の飛行機に搭乗の際は陰性証明書とワクチン接種証明書(最低1回)の提示が求められるようになった。PPKM Daruratの解除は1日の新規感染者数が1万人以下になることが条件となっており、この原稿を執筆している7月20日現在の状況から考え、規制はほぼ間違いなく延長されると思われる。

3月から接種開始

接種時に記入して提出する所定のフォーマット

接種時に記入して提出する所定のフォーマット

 インドネシアでは大統領が第1号となり、3月からワクチン接種が始まった。現在、住民を対象とした政府主導の無料ワクチンプログラムと、企業主導のゴトンロヨン・ワクチンプログラム(自主接種プログラム)が実施されており、外国人にも条件付きで接種の門戸が開かれている。
 5月中旬のレバラン(断食明け大祭)が終わった頃から、仕事面や私生活面でインドネシア人から「ワクチン、もう打ちましたか?」という言葉が挨拶代わりのように聞かれるようになった。接種を済ませた人達に聞くと、中には副反応がきつかった人もいるものの、「コロナに感染しても重症化しないという安心感が大きい」という。
 仕事柄多くの人に会う機会がある筆者はワクチンはなるべく早く打ちたいと考え、情報を探して6月に接種の機会に恵まれた。この「情報を探して」の部分なのだが、外国人に門戸が開かれているとはいえ、いつどこで打てるのかの情報は自分で探さないといけない。この点は少々ハードルが高いと感じた。

スムーズだった接種の流れ

 中国製が主流のインドネシアにあって、筆者はアストラゼネカ製を受けることができた。必要な書類は、アレルギーや基礎疾患の有無を記入する所定のフォーマットとKITAS(滞在許可証)の写しで、これを持参して指定の会場に行く。朝9時開始ということで少し早めに行ったが、既に50人近い人が整然と並んだ椅子に腰掛けて順番を待っていた。会場にはスタッフが何人かおり、順番待ちから接種終了まで適切に誘導してくれ、非常にスムーズだった。
 最初に書類の確認と登録があり、次に検温と血圧検査、さらに簡単な問診と説明を受けてワクチン接種、待合室での15分の待機、接種証明書と鎮痛解熱剤の受領、帰宅となる。会場到着から証明書の受領までに要した時間は約70分。驚いたことに、接種終了の約2時間後にはSMSが入り、2回目の接種の予約番号、日程(次回は9月。アストラゼネカの場合、接種間隔は3カ月)、場所が明記されていた。接種プログラムのシステムがよく整っていると感じた。
 筆者と同じタイミングで接種を受けた人は20~30代が多い印象で、見たところ外国人は筆者だけ。接種会場での誘導や説明はすべてインドネシア語なので、言葉が心配な場合は通訳してくれる人と一緒に行くとよいと感じた。なお、料金は無料。

病院の建物の入り口が待合所となっており、書類確認や血圧検査後、建物内の個室で接種が行われる

病院の建物の入り口が待合所となっており、書類確認や血圧検査後、建物内の個室で接種が行われる

副反応で寝返り打てず

 接種後、渡された鎮痛解熱剤を飲み、接種当日は何ら不調は感じなかった。しかし翌日は朝から発熱はないものの熱っぽく、だるさと下痢、接種カ所の痛み、筋肉痛を感じた。とりわけ筋肉痛がひどく、もともと感じていた五十肩の痛みが倍増し、その日の晩は寝返りを打つのも辛かった。幸い翌日は体調が戻ったのでホッとしたが、1回目より副反応がきついといわれる2回目の時は、接種翌日の予定は入れないようにしたいと思う。
 インドネシアで仕事をしていると、日イ双方の入国時に課せられる2週間の自主隔離やワクチン接種間隔がネックで、筆者のように日本の接種プログラムに参加しにくいと感じる人もいる。そんな中、インドネシアが情報取得や言語のハードルはあるものの、接種の門戸を外国人にも開いてくれているのはありがたい。

出典

・外務省「海外在留邦人数調査統計(令和3年版)」

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中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴19年)

月刊誌さらさ編集長

 
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