トップ > プログラム > 世界の街角ライブラリー > ジャカルタ、コロナ禍で自転車ブーム再来
2012年10月、当サイトに「自転車ブームに沸く首都ジャカルタ (https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=54)」という記事を書いた。その後もジャカルタでは何度か自転車ブームがあり、自転車人口は増加を続けている。Fixie(ピストバイク)、折りたたみ自転車、マウンテンバイクなど自転車の種類ごとのコミュニティーも誕生した。そして2020年、コロナ禍により再び自転車ブームが起きている。
運動不足とストレス解消で注目
ジャカルタでは4月から始まった大規模社会規制により、外出自粛や在宅勤務が広がった。自宅で過ごす時間が増え、運動不足とストレス解消に自転車が再び注目を集めることになった。公共交通機関の利用が制限され、社会的距離を保つというもっと現実的な目的のために自転車を生活に取り入れた人もいる。
運輸開発政策研究所の調査によると、6月から始まった規制移行期間に自転車を利用する人はそれ以前に比べ10倍に増加した。自転車の売り上げが倍増し、自転車を用いたサービスも登場している。
カーフリーデーと専用レーンで利用に拍車
ジャカルタで休みの日に自転車に乗るには、スナヤン地区のGBK競技場周辺や、毎週日曜日に行われるカーフリーデーが一般的だ。カーフリーデーは車の出入りを禁止し、自転車や徒歩でジャカルタの目抜き通りを通行できるもので、道端には屋台なども並び、ちょっとしたお祭りのような感じで多くの人が集まるイベントだ。しかし、コロナ禍で中断と再開を繰り返しており、場所も人の密集を避けるために市内の何カ所かに分散して行われるようになった。
市内の自転車専用レーンも整備されつつある。ジャカルタではコロナ以前の2019年11月までに合計63キロメートルの自転車専用レーンが主要幹線道路のスディルマン通りやタムリン通り、MRT駅周辺に設けられた。MRT駅には専用の駐輪場もあるので、自転車で駅まで行き、MRTに乗り換えられる。規制移行期間中も専用レーンの拡張は続いており、タムリン通りとスディルマン通り沿いに14キロメートルが追加された。
シェアリングサービスも登場
7月3日にジャカルタ運輸局は自転車シェアリングサービス(貸し自転車)事業者と提携し、自転車シェアリングサービスを試験的に開始した。MRTブンダランHI駅や主要オフィスビル前など市内9カ所に設けられた専用駐輪場に200台の自転車が用意され、6時から18時まで利用できる。料金は15分3000ルピア(約21.5円)。利用開始時に、自転車に割り振られたQRコードをスキャンしてロックを解除すれば乗れる。その他、MRTと運輸開発政策研究所の提携により、一部のMRT駅で無料自転車シェアリングサービスも実施されている。
自転車の利用者が増えれば、世界的に悪名高いジャカルタの渋滞が緩和され、大気汚染の緩和にもつながる。健康管理目的とあわせて、利用者が増えるのを期待している。
関連ページ
・インドネシア政府のコロナ対策に国民の厳しい視線
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/column_detail/id=1200
・ニューノーマルへの軟着陸を目指すジャカルタ
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1202
・コロナで様変わり、ジャカルタの断食模様
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1186
・【世界の統計局】インドネシア
https://gmc.nikkei-r.co.jp/stat_area/?search_ext_col_01=01&topics_ext_options_search=1#area244
・デリー、個人宅の料理の宅配が静かなブーム
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1208
・ミャンマー人に人気の巡礼地シュエサットー
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1205
・コロナ時代のイギリス新日常生活
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1206

中野 千恵子
インドネシア・ジャカルタ(在住歴19年)
月刊誌さらさ編集長