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コロナ時代のイギリス新日常生活

峰松 愛

イギリス・ロンドン(在住歴23年)

プロフィール詳細

欧州・ロシア・CIS|英国|2020年08月24日
銀行前で2メートルの社会的距離を取りつつ行列する人々

銀行前で2メートルの社会的距離を取りつつ行列する人々

 イギリスでは一般的にCovid-19と呼ばれる新型コロナウイルス。国内感染者数は31万人で、死者は欧州最多の4万人以上となっている(8月10日現在)。3月23日に外出制限令が出て以来、全国的にロックダウンが続いてきたが、5月半ばから規制緩和が徐々に行われ、7月以降は別居の家族や友人知人とも社会的距離(Social distance)を保ちつつ会えるようになった。買い物や外食も自由にできるようになってきたものの、依然在宅勤務で自宅生活中心の人は多く、コロナ以前の生活に戻るには相当時間がかかりそうだ。今回はそんな生活の中でのニューノーマルを紹介したい。

平日午後のLondon Overground

平日午後のLondon Overground

店内でのマスク着用義務化、違反者は罰金14000円

ショッピングモール内のマスクの広告

ショッピングモール内のマスクの広告

 3月の記事で紹介した通り、マスク着用の習慣がなかったイギリス。ロックダウン中も当初はマスクの着用が奨励されていなかったが、在宅勤務が無理な労働者の通勤が5月中旬解禁になってから交通機関が朝夕混雑し、6月1日から公共交通機関でのマスク着用が必須となった。
 さらに、小売店が全般的に営業再開後の7月24日からは店内でのマスク着用が義務化された。最大100ポンド(約14000円)の罰金制度の導入で、今や外出時には誰もがマスクを携行し、薬局などマスク常備の店も増えている。

在宅勤務生活が一般化

 在宅勤務不可能な業種や職種の労働者は5月半ばから職場復帰しているが、在宅勤務が可能なホワイトカラーを中心に今も自宅生活を続けている人は多い。ロンドンのシティ地区などオフィス街は、今なお閑散としている。
 以前から海外オフィスや顧客とのWeb会議を利用していた職場も多く、ロックダウンでWeb会議システムを活用した在宅勤務の形態が定着しつつある。2021年6月までの在宅勤務続行を発表したGoogleなどの企業もあり、有効なワクチンのない現状では今後半年、1年と社員の在宅勤務体制を続行する企業も少なくない。固定席のないホットデスキングとともにオフィススペースの縮小も進みそうだ。
 企業の倒産や人員削減のニュースを耳にする一方、解雇などを機にオンラインでの新事業を始める人も急増しているそうで、Zoom利用でオンラインセミナーや教室を始めて順調な知人も身近に多い。

コンタクトレスでのキャッシュレス化

ロンドン地下鉄構内のコンタクトレスのポスター

ロンドン地下鉄構内のコンタクトレスのポスター

 イギリスで2007年から利用が始まった銀行のデビットカードやクレジットカードでのコンタクトレス決済。ロックダウン前の利用上限額は30ポンド(約4200円)で、買い物や交通機関で広く使われるようになっていたが、4月1日には上限額が45ポンド(約6300円)に引き上げられた。
 買い物客との接触を最低限にするために、大半の店がコンタクトレスカード払いを求め、日常の買い物もオンラインショッピングに切り替える人が急増、キャッシュレス化が大幅に進んだ。著者もロックダウン以来全く現金を使っていない。

海外旅行を敬遠、国内・近場が主流に

 新型コロナの感染拡大を受け、海外旅行の際には2週間の自宅待機が必要となった。このため夏休みには国内旅行者が大幅に増えた。コーンウォールや湖水地方、スコットランドなど人気の観光地では、マスク着用で2メートルの社会的距離を保ちつつ、多くの国内客を迎えているそうだ。近場の海岸に車で日帰り旅行する家族も多く、各地のキャンプ場も人気を集めている。ロンドンの博物館や美術館も8月からようやく再オープンした。事前入場予約が必要なうえ、館内ではマスク着用が必須だが、訪問を心待ちにしている人も多いはずだ。
 コロナ禍で苦戦のホテルや飲食店などホスピタリティ業界への支援策として、付加価値税(VAT)が7月から2021年1月まで通常の20%から5%に引き下げられている。また、8月中はレストランでの食事が週前半は半額になる割引制度(Eat Out to Help Out Scheme)も実施されている。

 3月以来休校だった全国の学校も、夏休み明けの9月(スコットランドと北イングランドでは8月中旬)から全校再開の予定で、秋からはさらに普通の生活に近づけそうだ。感染者の増減次第で今後も規制のある生活は続くだろうが、身近なところからできることを広げていけたらと思う。

※ 写真は執筆者が独自に撮影、または所有しているものです。記事の内容は執筆者の見解に基づくものです。

出典

・英国政府の新型コロナデータと対策情報_GOV.UK(Coronavirus (COVID-19) in the UK)
https://coronavirus.data.gov.uk/

・英国政府の新型コロナデータと対策情報_GOV.UK(Guidance and support)
https://www.gov.uk/coronavirus

・The best places to visit in the UK in 2020
https://www.timeout.com/uk/things-to-do/best-places-to-visit-in-the-uk-2020

・This is what coronavirus will do to our offices and homes
https://www.bbc.co.uk/news/resources/idt-dc2d6e2d-3ab4-42de-8d03-bb7eda5fff8e

関連ページ

・マスクなしで乗り切る?~イギリスでの新型コロナ予防法
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1156

・ニューノーマルへの軟着陸を目指すジャカルタ
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/overseas_detail/id=1202

・新しい日常-コロナ以降の世界で-
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/column_detail/id=1188

・Global: US court enjoins Trump Administration from reversing tariff exclusions
https://gmc.nikkei-r.co.jp/law_detail/id=1201

・【世界の統計局】英国
https://gmc.nikkei-r.co.jp/stat_area/?search_ext_col_01=03&topics_ext_options_search=1#area251

峰松 愛

イギリス・ロンドン(在住歴23年)

東京で出版社勤務後、渡英。編集やライターの仕事の傍ら、ロンドンのオフィス街で日本語教師として活動。

 
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