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プログラム|世界の街角ライブラリー

英に根付くチャリティーショップ、慈善精神とリユース文化担う

峰松 愛

イギリス・ロンドン(在住歴23年)

プロフィール詳細

欧州・ロシア・CIS|英国|2020年11月12日

 コロナ禍による自宅生活で部屋の片付けに精を出している人も多いだろう。そうして出た不用品をどう処分するか。再利用できる不用品の持ち込み先として多くのイギリス人が思いつくのは、町のハイ・ストリート(目抜き通り)に数軒はある「チャリティーショップ」だ。

ハイ・ストリートの代表的なチャリティーショップ、Oxfam(写真左)とCancer Research UK(写真右)

ハイ・ストリートの代表的なチャリティーショップ、Oxfam(写真左)とCancer Research UK(写真右)

寄付品で慈善団体が経営

 チャリティーショップとは、慈善(チャリティー)団体が寄付による中古品を販売する小売店で、その売上金は団体の活動資金として使われる。業界団体のCharity Retail Associationによれば、会員団体の総店舗数は9058店(2019年データ)。全国に500以上の店舗を持つ代表的な慈善団体は、国際的人道支援のOxfam、心臓病研究支援のBritish Heart Foundation、癌研究のCancer Research UK、児童保護団体のBarnardo'sなど。この他、緩和ケア支援のSue Ryderや高齢者支援のAge UK、身体障害者支援のScope、動物保護団体のRSPCAの店も多い。
 販売商品は、個人や法人から寄付された衣類や日用雑貨、ジュエリー、本、DVDやCD、玩具など。書籍専門や家具・電化製品専門の店もある。支援団体や最寄りのチャリティーショップに日常的に寄付する人も多く、中古品が再利用されて慈善事業の収入源になっているわけだ。

British Heart Foundationの店内。衣類や食器、絵本や玩具など数百円の品が大半で格安だ

British Heart Foundationの店内。衣類や食器、絵本や玩具など数百円の品が大半で格安だ

ボランティアに支えられるショップ運営

 チャリティーショップの運営は、団体本部からのスタッフの下、寄付品の整理や値札付けからレジの店番まで、多くのボランティア(全国で23万人以上)によって支えられている。チャリティーショップでの活動を生き甲斐にする人もいて、コロナ以前はリタイア後の60~70代のボランティアが多かったが、今年は自宅に籠もりがちの高齢者に代わり、若いボランティアが活躍している様子だ。
 利用客は、安い品を求める学生や低所得層、古着愛好者、掘り出し物を探す人など様々だ。バースデーカードやクリスマスカードなど団体の特製カードも販売されているので、それを目当ての人も多い。地方の店では地域の工芸品やアンティークが見つかることもあり、筆者も旅行の際は訪問先のチャリティーショップによく足を運んでいる。

トレンディーなブティックも出現

ShelterのLondon Kings Cross店

ShelterのLondon Kings Cross店

 最近は、商品選択や内装に趣向を凝らし、リサイクル店的な従来のイメージと趣を異にする斬新な店も出てきている。
 全国で約100店舗を運営するホームレス支援団体のShelterでは、ロンドンなどの15店舗を「Boutique」と命名し、内装を一新してデザイナー物やビンテージ服を中心に販売している。筆者が最近訪れたキングス・クロス店は、流行に敏感な若者向けにシンプルで洗練されたセレクトショップ風の店構えで、Shelterの活動を紹介する店内ポスターもインパクトがあって印象的だった。

 古い物を大事にする文化と慈善事業が結びついた、イギリス社会の象徴的な場所とも言えるチャリティーショップ。ロックダウンで小売店が閉店を余儀なくされると、チャリティーショップも活動を休止せざるを得ないのだが、コロナ禍での減収や失業で店を頼みにする利用客も急増しているし、各慈善団体の支援事業継続のためにも、コロナ時代をなんとか乗り切って存続していってほしいものだ。

※写真は執筆者が独自に撮影、または所有しているものです。記事の内容は執筆者の見解に基づくものです。

出典

・Charity Retail Association
https://www.charityretail.org.uk/

・Britain’s Best Charity Shops For Finding Pre-Loved Treasure
https://www.vogue.co.uk/fashion/article/best-charity-shops-in-uk

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峰松 愛

イギリス・ロンドン(在住歴23年)

東京で出版社勤務後、渡英。編集やライターの仕事の傍ら、ロンドンのオフィス街で日本語教師として活動。

 
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