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ミャンマー人に人気の巡礼地シュエサットー    外国人も宿泊OKのエコリゾート誕生へ

板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|ミャンマー|2020年08月03日

 軍事政権下で長く鎖国に近い状態が続いていたミャンマーには、外国人に知られていない隠れた観光スポットがたくさんある。そのひとつがシュエサットーパゴダだ。ミャンマー人なら知らない人のいない有名聖地だが、海外で出版されたガイドブックにほとんど触れられていない。というのも、外国人が訪れるには立地が不便すぎるからだ。

ヤンゴンから陸路で10時間

 シュエサットー観光の拠点となるのは、中部マグウェー地方の中心都市マグウェーだ。しかし同地に空港はなく、国際空港のあるマンダレーから車で約4時間、ヤンゴンからなら約7時間かかる。さらにマグウェーから山奥のシュエサットーパゴダまでは約3時間かかる。しかも周辺には外国人が宿泊できる宿がないため、外国人観光客はマグウェーから日帰りするしかない。
 しかし先ごろ、ミャンマー政府はシュエサットーの近くに、約24万㎡のホテルゾーンを設けると発表した。外国人も宿泊できる一大エコリゾートを打ち立てる計画だ。

左:釈迦の足跡を公開する時期以外はただの広大な河原<br />
右:年に約1ヵ月だけ御開帳となる釈迦の足跡

左:釈迦の足跡を公開する時期以外はただの広大な河原
右:年に約1ヵ月だけ御開帳となる釈迦の足跡

 シュエサットーパゴダがミャンマー人に有名なのは、人々が本物と信じる釈迦の足跡があるからだ。2つある足跡のうち、山頂の方は4月の満月前数週間のみ一般に公開される。そのためこの時期には、ミャンマー全土から巡礼者がつめかける。
 パゴダは山奥の谷間に位置し、ふだん周囲は何もない河原だ。それが3月の終わりになると、突如“街”が出現する。巡礼者たちが利用する簡易宿泊所が川に沿ってびっしりと立ち並び、周辺は彼らの飲食をまかなう一大屋台街となるのだ。宿泊施設は周辺で採れる竹を使った簡素な小屋だが、川に面した小屋であれば、テラスから直接川に飛び込んで水遊びができる。シチュエーションだけに目を向ければ、ちょっとした河川リゾートといった趣だ。

真の目的は家族バカンス

 巡礼者の多くは家族や仲間と小屋を貸し切り、数日間滞在する。大人はテラスで飲食や昼寝をして寛ぎ、子どもたちは目の前の川で水遊び。気が向いたら、みんなで釈迦の足跡を拝みに行く。これがシュエサットーの典型的な楽しみ方だ。宿泊料は1室あたり、1泊2万~3万チャット(約1550~2300円)となっている。
 ヤンゴンの中流家庭で育った人たちに話を聞くと、「子どもの頃に家族で毎年のように行っていた」という人も少なくない。重要な聖地ではあるが巡礼はついでで、お手頃価格で家族団らんを楽しむ避暑地、という側面が強いようだ。

服を着たまま水遊びをするミャンマー人

服を着たまま水遊びをするミャンマー人

 河原に突如出現する“街”の光景はなかなか壮観で、外国人にも需要は高いはずだ。これまでネックだった宿泊施設の問題が解決すれば、かなりの需要が掘り起こせるだろう。清冽な流れの谷川を擁する自然豊かなエリアだけに、エコリゾートにうってつけの環境といえる。今後、注目の観光地に育つことを期待したい。

※ 写真は執筆者が独自に撮影、または所有しているものです。記事の内容は執筆者の見解に基づくものです。

出典

・Hotel zone to be established near Shwesettaw
https://www.moi.gov.mm/moi:eng/?q=news/17/07/2020/id-22170

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板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

ミャンマー在住6年目の編集・ライター&取材コーディネーター。著書に『現地在住日本人ライターが案内するはじめてのミャンマー』(徳間書店)など。

 
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