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ニューノーマルへの軟着陸を目指すジャカルタ

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2020年07月22日
テーマパークの車両入場ゲートでの検温の様子<br />
係員はビニール手袋とフェースシールド、マスクを着用

テーマパークの車両入場ゲートでの検温の様子
係員はビニール手袋とフェースシールド、マスクを着用

 筆者の暮らすジャカルタでは新型コロナウイルス感染拡大防止のための大規模社会規制が4月10日に発令され、外出自粛、マスク着用、公共交通機関利用の制限、一部の業種を除く在宅勤務などビジネスや生活面でさまざまな規制が続いた。
 しかし感染拡大が収まらないため、この規制は3回延長された。6月4日に発表された第4フェーズ(4回目の延長)では7月16日までを期限に、経済活動への配慮からニューノーマルへの移行期間と位置付けられ、部分的に緩和された。
 これにより、飲食店やショッピングモールの営業、50%の出社率でのオフィス勤務などが認められた。また、閉鎖が続いていた博物館やテーマパークなども、入場時の検温、手指消毒または手洗い、入場人数制限、社会的距離の確保などを遵守したうえで再開した。

素手の握手、顎マスク‥‥緩む警戒感

テーマパーク内各所に設置された手洗い場

テーマパーク内各所に設置された手洗い場

 筆者が参加しているインドネシア人コミュニティーは、とあるテーマパーク内の施設を利用している。これも3カ月近くの活動停止を経て、6月下旬にようやく活動が再開された。初回の集まりにはメンバー全員、大喜びで集結した。
 それはよかったのだが、インドネシア人メンバーを見ていると、コロナが収束したと錯覚しているのではないかと思える部分も散見された。具体的には、あいさつの際の素手での握手、顎マスク、至近距離での会話、食べ物のとりわけなどだ。筆者は自分の身は自分で守ることを徹底するため、握手は遠慮し、マスクの徹底着用を心がけた。幸い、この集まりの2週間後も皆が健康であったのは何よりである。

 しかし、ニューノーマルへの移行期間に入ったことによる気の緩みや錯覚は何もこのコミュニティーに限ったことではない。その証拠に、ジャカルタ特別州発表のデータを見ると、第4フェーズに入ってからの感染者数の増加が著しい。インドネシア全体で見ても、ジャカルタは東ジャワ州に次いで感染者数が多い。
 残念なことに、前述のコミュニティーの活動拠点があるテーマパーク内で7月上旬に感染者が出たため、コミュニティーの活動は再び2週間凍結されることとなった。さらに7月16日夜には、ジャカルタ特別州から移行期間を2週間延長し、7月30日までとするという発表があった。

ジャカルタのコロナ感染状況推移 出典:https://corona.jakarta.go.id/en<br />
オレンジ:感染者数、青:死亡者数、水色:回復者数<br />
大規模社会規制が緩和された6月4日以降、一日の感染者数が右肩上がりなのがわかる

ジャカルタのコロナ感染状況推移 出典:https://corona.jakarta.go.id/en
オレンジ:感染者数、青:死亡者数、水色:回復者数
大規模社会規制が緩和された6月4日以降、一日の感染者数が右肩上がりなのがわかる

難しい規制緩和と安全確保のバランス

テーマパーク内に掲示された看板<br />
マスコットがマスクを着用する絵が描かれ、感染防止の方法が説明されている

テーマパーク内に掲示された看板
マスコットがマスクを着用する絵が描かれ、感染防止の方法が説明されている

 規制を緩和するとどうしても感染者が増加する。ジャカルタが無事ニューノーマルへ移行するには、これからもしばらく規制緩和と安全確保のバランス調整が続くのだろう。
 ジャカルタ特別州政府には、人々への感染防止の正しい知識や手順の再徹底と、経済活動と安全面のバランスの取れた施策をとってほしい。「3歩進んで2.5歩下がる」であっても、少しでも先に進めれば成功である。

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中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

月刊誌さらさ編集長

 
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