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ラジオ番組で生演奏、ギリギリ間に合わせる「インドネシア式」を実感

中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|インドネシア|2020年04月08日

 青銅製の打楽器を中心としたオーケストラであるジャワガムランは、ジャワで8世紀頃に原型が誕生したといわれ、13世紀から15世紀に栄えたマジャパヒト王朝の庇護を受けて花開き、その後も歴代ジャワ王朝に守られながら現在まで続いている伝統音楽だ。伝統音楽といっても特定の専門家が王宮内だけで演奏するのでなく、ジャワでは一般市民も趣味として演奏を楽しんでいる。

ボーカルも含めて約20人で演奏した

ボーカルも含めて約20人で演奏した

 筆者は2002年からジャカルタに在住し、仕事の傍ら、ジャワガムラン演奏活動に取り組んでいる。ユドヨノ大統領(当時)の御前演奏をはじめ、ジャワガムランコンテスト優勝、結婚披露宴やワヤンクリット*の伴奏、在留邦人に対する伝統芸能啓蒙イベント、音楽教室実施など趣味を超えたライフワークとして本格的に活動している。その活動の一環で、3月12日にインドネシア国営ラジオ局Pro4 RRI Jakartaのジャワガムラン生放送番組で、アマチュアグループのメンバーとして演奏をした。今回はその時のエピソードを紹介する。

*インドネシアで行われる人形を用いた伝統的な影絵芝居

3時間の生放送、ジャワガムラン15曲を演奏

 放送はラジオ局内にあるジャワガムランスタジオで午後9時から午前零時まで、トークも挟みながら3時間行われた。演奏したのは15曲。一部の曲はメドレー形式でつないで30分ノンストップで演奏した。筆者の所属しているグループは筆者以外は皆ジャワ人で、先生以外は皆アマチュア。ジャワガムランは音からα波が出る癒やしの音楽だが、本番では癒やしはともかく、集中してミスのないように演奏することに集中した。結果、かなり骨のある曲も大過なく演奏することができ、満足のいく放送となった。また、ラジオを聞いてくれた友人・知人からもお褒めの言葉をもらった。

本番1週間前に曲を差し替え

スタジオに隣接したミキサー室

スタジオに隣接したミキサー室

 3月にラジオに出演する計画は1月ごろに先生からメンバーに伝えられ、3月頭にはほぼ完成形に仕上がった。ところが、本番まであと1週間という段階で、曲を差し替えるという連絡がきた。ラジオ局の放送責任者に演奏曲目を伝えたところ、番組で想定している曲の構成と異なるというのが理由。
 演奏曲目が決まった時点ですぐにラジオ局と話しておけば、このような急な曲の差し替えは回避できたのではと思うが、そうしないのがいかにもインドネシアで、また、こうなったことに対してメンバーが誰もクレームを言わないのもまたインドネシアらしい。

 急遽、半数の曲を入れ替えての練習が本番3日前と前日に行われ、なんとか形になった状態で当日を迎えた。リハーサルでは、いつもはにこやかな先生が厳しい目つきでメンバーに指示を与え、筆者にも演奏方法について指示が来た。その結果、本番では皆が持てる力を最大限に発揮して素晴らしい演奏になった。

計画的に準備をする日本人とは好対照

 インドネシアではイベントなどの際、物事がギリギリまで仕上がらず、本当に大丈夫なのかとハラハラさせられるが、最後はしっかりまとめ上げて素晴らしい結果になることが多い。本番までの日数を逆算して、計画的に準備を進める日本人とは大きく違う。筆者は18年住んでいてもやはり日本人なので、インドネシア式についていくのが少々大変に感じることもあるが、インドネシアの仲間と共に素晴らしい結果を手にできた時はこの上ない達成感を得られる。

難易度が高いとされるグンデルを担当

難易度が高いとされるグンデルを担当

 日本人の筆者がジャワガムラン演奏や伝統芸能の啓蒙活動をすることについて、ジャワの人たちはとても歓迎してくれる。「日本人がこんなに一生懸命取り組んでくれているのだから、自分たちも頑張ろう」という気持ちになるのだそうだ。先生と筆者で 2018年12月に立ち上げた在留邦人向けジャワガムラン教室も盛況で、生徒はほぼ全員初心者ながら徐々に演奏できる曲が増えている。次の放送ではジャワガムラン教室の生徒たちと出演したい。

※ 写真・動画は執筆者が独自に撮影したもの、または所有しているものです。また、記事の内容は執筆者の見解に基づくものです。

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中野 千恵子

インドネシア・ジャカルタ(在住歴17年)

月刊誌さらさ編集長

 
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