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ミャンマーで地方観光のスタイルを変える三輪タクシー

板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

プロフィール詳細

アジア・オセアニア|ミャンマー|2019年09月04日

 ミャンマー第2の都市マンダレー。この1年ほどで街の様相が一変した。トンベインと呼ばれる3輪タクシーが急増し、街の至るところを走り回るようになったからだ。トンベインの普及で、マンダレーの観光事情も大きく変わった。

ひっきりなしにトンベインが走り抜けるマンダレー中心部

ひっきりなしにトンベインが走り抜けるマンダレー中心部

2017年秋に地元企業が運用を開始

トンベインは色鮮やかな車体のものが多い

トンベインは色鮮やかな車体のものが多い

 トンベインは電動の3輪車で、Three Wheels CarやThree Wheelerと表記することもある。屋根を幌で覆い、両側はカーテンやシートを取り付けている車輌が多い。後部に2名まで乗車できるが、まれに3名が乗ったトンベインが走っているのも見かける。2017年9月、配車アプリを運営するミャンマーの地元企業オーウェイトンベインがマンダレーで初めて導入した。

公共交通機関が脆弱だったマンダレー

 それまでマンダレーには、ヤンゴンにあるように簡単につかまえられる流しのタクシーはほとんどなかった。旅行者はホテルのフロントに頼むなどして、タクシーを呼んでもらわねばならなかった。タクシーを利用しないバックパッカーらは、街角で客待ちをするバイクタクシーを利用。しかし、バイクタクシーは中心部でさえ数ブロックに1、2台ほどしかおらず、つかまえにくい。そのため旅行者は四方八方へと延々と広がるマンダレー市街を移動するのに苦労を強いられていた。

安くて便利、配車アプリの進出で普及が加速

グラブの進出で台数の増加が加速

グラブの進出で台数の増加が加速

 トンベインの料金はタクシーよりかなり安く、バイクタクシーより少し高いくらい。たとえば、最も安い時間帯に市街中心部のヒルトンホテルからマンダレー駅まではタクシー3900チャット(約280円)、トンベイン1900チャット(約130円)、バイクタクシー1400チャット(約100円)となる。
 さらに、配車アプリを介して利用すれば値段交渉が不要で、不当な料金を吹っ掛けられる心配もない。行き先もスマホに打ち込むだけで、ドライバーと会話をしなくても目的地に着く。外国人にはとても使い勝手がよい。
 2018年5月に大手配車アプリサービス・グラブがマンダレーにトンベイン運用も含めて進出すると便利度はさらに向上した。それでも2018年の秋頃までは台数が少なく、なかなか近くのトンベインがつかまらないこともあったが、あっという間に台数が増え、今では中心部なら待ち時間が3~5分で収まることがほとんどなまでなっている。

購入するなら中国製よりインド製

 トンベインの運転手によれば、「現在、ミャンマー国内に出回っているトンベインは中国製かインド製。中国製なら200万チャットぐらい、インド製ならその倍はする。でも中国製はすぐに壊れるので、高くてもインド製の方がいい」とのこと。乗用車を購入するほどは元手がかからないため、ここまで急速に広がったようだ。昨年11月、グラブはマンダレーに続き、バガンでもサービスを始めた。

観光にも大きく変化

ヤンゴンは中心部には乗り入れできないが、郊外はトンベインが席巻しつつある

ヤンゴンは中心部には乗り入れできないが、郊外はトンベインが席巻しつつある

 今後、バガンをはじめとする各都市で、小まめに乗り降りできるトンベインがさらに普及していけば、観光のスタイルも大きく変わることだろう。車の手配で利益を得ていた旅行会社やタクシードライバーには痛手だ。しかし、配車アプリを介したトンベインは簡単で安価に移動でき、覆いがあるので雨に濡れず、晴天なら日焼けが防げる。トンベインの普及は、旅行者側にはよいこと尽くめだ。

出典

・Grab 2019
https://www.grab.com/mm/en/

・Bagan, the ancient city of Myanmar to enjoy GrabThoneBane Service
http://miradio.com.mm/news/bagan-ancient-city-myanmar-enjoy-grabthonebane-service

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板坂 真季

ミャンマー・ヤンゴン(在住歴5年)

ミャンマー在住6年目の編集・ライター&取材コーディネーター。著書に『現地在住日本人ライターが案内するはじめてのミャンマー』(徳間書店)など。

 
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