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ニューヨークの子供の夏休み、高額のサマーキャンプに驚く

坂下 曜子

アメリカ・ニューヨーク 在住歴2年

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北中南米|米国|2019年07月09日

 ニューヨークでは、6月末から小中高生の夏休みが始まった。9月の新学期まで約2カ月に及ぶ長期休暇だ。一般的に公立校では日本のように夏休みの宿題が出ることはほとんどなく、子供の多くはサマーキャンプに入って過ごす。夏休みに子供たちが集まり、数週間にわたってスポーツや野外活動を楽しむイベントだ。

遊び主体、スポーツ特化…幅広い分野で賑わう

 ニューヨークのサマーキャンプは、毎日自宅から通い、朝から夕方まで過ごすデイキャンプが主流だ。キャンプは学区が主催する公的なもの以外に、大学などの教育機関やスポーツ施設、教会などが運営するものまで幅広い。例えばニューヨーク郊外のウェストチェスター郡イーストチェスター学区では、小学校で学区主催のデイキャンプが開かれる。週に数回、近くのプールで泳いだり、ボーリング場やゲームセンターに出かけたりする。何かを学ぶというよりは、遊びが主体のキャンプだ。費用は6週で1025ドル(約11万円)になる。日本の感覚では高いと感じるかもしれないが、このあたりではかなり安いキャンプとして有名だ。

野球キャンプは朝から夕方までフィールドで野球三昧になる

野球キャンプは朝から夕方までフィールドで野球三昧になる

 アメリカン・キャンプ・アソシエーションという団体によると、デイキャンプの平均費用は週199ドルから800ドル超。同団体の調査では、全米のサマーキャンプの市場は180億ドル(約2兆円)の規模という。ウェストチェスター郡南部では、水泳や野球、バスケットボールなどスポーツに特化したキャンプで週300~400ドルかかる。学習に特化したキャンプも豊富で、読解力を伸ばすためのリーディングキャンプは大学などが提供している場合が多い。マンハッタンではアメリカ自然史博物館やイントレピッド海上航空宇宙博物館などの著名な施設でも行われる。例えば、アメリカ自然史博物館では週625ドルで恐竜から宇宙まで理科系の授業が受けられる。

高額だが最新技術を学べる場

 いろいろなキャンプがありすぎて迷ってしまうが、ハイテク分野の授業が豊富な「ディスカバー・キャンプ」はウェストチェスター郡で大人気のキャンプだ。今年で12年目を迎える。午前9時から午後4時で、112の授業の中から興味のあるものを選択する。価格は7週で5380ドル(約58万円)で日本の国立大学の年間の授業料に近い金額だ。4コマの時間割を指導するのは現役の小中学校の先生や大学の講師などで、アシスタントで高校生がつく。目玉は3Dプリンターを使った授業だ。このキャンプでは、1台900ドルのプリンターを50台そろえる。「全く普及していなかった8年くらい前から使い方を教えている。大切なのはパソコンを使って自分が作りたいものをどう作るか試行錯誤すること」とディレクターのアンソニー・リッチさんは話す。最近特に人気なのはバーチャル・リアリティーを体験できる機器を使った授業や、ドローンを操作してレースをする授業などだ。同キャンプのリピート率は90%という。前年に習った内容を踏まえ、翌年はさらに高度な内容の授業を受けられるためだ。「ロケットを作って飛ばしたり、ラジコンカーを一から作ってみたり、子供たちに日常では体験できない新しい世界を見せていくのが狙い」とリッチさんは話す。

ディスカバー・キャンプでは1人1台バーチャルリアリティーを体験できる機器が与えられる

ディスカバー・キャンプでは1人1台バーチャルリアリティーを体験できる機器が与えられる

割引などの費用補助制度も

ディスカバー・キャンプで使用される3Dプリンター

ディスカバー・キャンプで使用される3Dプリンター

 タラ・サピールさんは2020年度に6年生と4年生になる息子2人をディスカバー・キャンプに入れる。4週間の短期コースを予定している。「息子たちが珍しく自分からこのキャンプに入りたいと言ったの。早期割引で申し込んで2人で約6000ドル(約65万円)の出費よ。もうこの夏はそれで楽しみは終わりね」と苦笑いだ。多くのキャンプは、2~3月ごろまでに申し込むと2割前後割り引いてもらえる。アメリカン・キャンプ・アソシエーションが認定するキャンプの93%が費用補助制度を設けている。経済的に恵まれない家庭の子供向けに料金の全額または一部を割り引いたり、寄付団体などによる補助を受けられたりする。

 大きな出費が見込まれるだけに、子供たちをどのキャンプに入れるか親は周到に情報収集する。熱心な親は来年の夏のために、今夏に興味があるキャンプの見学に行き、責任者に会って話を聞いたりするそうだ。大人も羨む充実したキャンプは今後もどんどん出てくるだろう。

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坂下 曜子

アメリカ・ニューヨーク 在住歴2年

日本経済新聞社で記者として15年働く。退社後に渡米。

 
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