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米ニューヨーク、自宅フィットネスに新潮流

坂下 曜子

アメリカ・ニューヨーク 在住歴2年

プロフィール詳細

北中南米|米国|2019年05月23日

ブームの火付け役は「ペロトン」

 米ニューヨークでは、近年、フィットネスバイクやヨガ、ボクシングなど単一のトレーニングができるブティック・スタジオという名の小規模ジムが人気を集めているが、昨年あたりから新たな動きが出ている。ジムで使用するような高機能のマシンを購入し、自宅でブティック・スタジオのような本格的な運動をするのがブームになっている。
 ブームの火付け役は、ペロトン社の高機能バイク「ペロトン」だ。同社はマンハッタンにバイク専門のブティック・スタジオを運営しており、カリスマ性のあるインストラクターを抱えるジムとして人気を集めている。同社のバイクは前方の液晶画面に、ジムで実際に行われているトレーニングがライブで配信される。価格は1台2245ドル(送料・設置台込み、約25万円)と高額で、さらにトレーニングのライブ映像などのコンテンツの利用に月39ドル(約4300円)を支払う必要があるが、全米で購入者が急増している。米メディアによると、ペロトン社の2018年の売上高は7億ドル近くに達したとみられ、前年からほぼ倍増した。

魅力的なライブ映像で本格トレーニング

自宅のリビングに「ペロトン」を置いてトレーニングをする能仲さん

自宅のリビングに「ペロトン」を置いてトレーニングをする能仲さん

 ニューヨーク郊外のウェストチェスター郡在住の能仲陽子さん(40)は今年3月、友人の薦めでペロトンを買った。購入してから2カ月たったが、毎日欠かさず最低30分はトレーニングをする。能仲さんは「かなりハードだが、どのインストラクターも指導力があり、トークも面白く、飽きることがない」と話す。ライブ配信ではノリの良い音楽をバックに、インストラクターが参加者を励まし、時には厳しい声をかける。人気のインストラクターには400人を超える参加者が集まることもある。画面には参加者の運動量の順位が随時更新され、自宅にいながら、ジムにいるような一体感を味わえる。
 能仲さんは「子供がいると、学校の休みや病気などでジム通いを継続するのはなかなか難しい。ペロトンは隙間時間で運動を続けられることが嬉しい」と言う。米国で一般的なジムの月会費は約58ドル。ニューヨークの高級ジムになると、150ドルを超えることもある。ジムへの移動や手間がなくなることにひかれて、購入に踏み切る人も多いようだ。ペロトン社は今年、株式上場の観測も出ており、さらに認知度が高まりそうだ。

高額トレーニング機器、続々登場

「ミラー」の前でポーズをとる期間限定店の店員

「ミラー」の前でポーズをとる期間限定店の店員

 ペロトンのブームをきっかけに、高額なトレーニング機器の市場もにぎわっている。バイクだけでも新規参入が相次ぎ、利用者の争奪戦は過熱している。ペロトンが昨年に新規参入したランニングマシンも競合が多い。有酸素運動だけでなく、ライブでトレーナーの指導を受けながら筋トレができるマシンも商品化されている。
 この春、ニューヨークで大々的に広告宣伝を展開したのがミラー社。商品名はその名も「ミラー(鏡)」で、姿見のような液晶画面を壁にかけ、自分の姿だけでなく、映し出されるインストラクターの映像を見ながら、ヨガやボクシングなどのトレーニングができる。価格は1745ドル(約19万円)で、レッスンのライブ配信の利用で月39ドルを支払う。ミラー社は実店舗を持たないが、今月末までマンハッタンに期間限定のショールームを開いている。店員のアマンダ・ウデゥカさんは「来店者は男女問わず、年齢もかなり幅広い。今年中に画面の向こうのインストラクターがカメラを通して利用者の動きを見て、ライブで指導できるように改良する予定」と話す。
 自宅にいながら、マシンを使って最先端のトレーニングを体感できる。新しいフィットネスの形として世界的なトレンドになる可能性がありそうだ。

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坂下 曜子

アメリカ・ニューヨーク 在住歴2年

日本経済新聞社で記者として15年働く。退社後に渡米。

 
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