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カンボジア人が海外旅行できる時代

多賀 シモン

カンボジア(在住歴7年)

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アジア・オセアニア|カンボジア|2019年04月18日

 日本では利用が減りつつあると言われるFacebook。だが、カンボジアに住んでいる私にとって、Facebookは未だに手放せないSNSである。この10年ほどで、スマートフォンというツールを通して初めてインターネットを利用するようになった多くのカンボジア人にとって、インターネット=FacebookとYouTubeという構造は健在で、国内で配信されるニュースやコマーシャル、個人投稿など多くの情報はFacebookを介して人々に日々供給されている。

 そんな中ここ1~2年で目にする機会が多くなったのが「私、今海外にいるんですよ」投稿だ。その多くは陸路で行けるタイやベトナム、またはLCC路線があるマレーシアであるが、最近はヨーロッパやドバイ、中国、韓国、そして日本など比較的渡航にお金のかかる地域も増えつつある。私の職場にも、次の連休には国外に行くというスタッフがちらほら。まさに今、カンボジアに海外旅行の春が訪れている。

数年にわたる増築工事ですっかり様変わりしたプノンペン国際空港。路線数もかなり充実してきている

数年にわたる増築工事ですっかり様変わりしたプノンペン国際空港。路線数もかなり充実してきている

海外渡航者数は年率13%超でウナギ登り

 カンボジア観光省によると、同国の海外旅行者数は2016年が130万人、2017年は160万人。2018年1~11月は181万人で、年間では190万人を超えた見込みだ。行先はASEAN諸国外にも広がっているそうだ。

 確かにその実感はある。実は私は旅行会社付のフリーマガジンで働いているので旅行業務もしばしば行うが、ここ数年、日本の観光ビザ発給や航空券手配などの依頼が増えている。また、以前旅行業界向けのミーティングで日本大使館に行った際に聞いた話では、カンボジア人の訪日ビザ発給手続きで領事館は連日大忙しだそうだ。あまりに人が来るので、領事館の通路にまで椅子を設置したという。

とにかく休みが多いカンボジア

カンボジアの5月のカレンダー。1カ月のうち祝日は7日あり、土日あわせて12.5日が休みとなっている

カンボジアの5月のカレンダー。1カ月のうち祝日は7日あり、土日あわせて12.5日が休みとなっている

 カンボジアには3連休が年に4回もあり、年次有給休暇数も18日ある。3連休は高確率で土日と連続するため、まとまった休みが取りやすいのも、この旅行ブームに拍車をかける要因と言えるだろう。特に5月の国王誕生日と10~11月の水祭り連休は、4月のクメール正月や9~10月のプチュンバン(お盆)に比べて宗教的重要度も低いので、毎年その時期がアウトバウンド旅行のピークシーズンとなっている。

旅先投稿はカンボジア人にとって幸せの記録

 依然、アジア最貧国の一つであるカンボジアでは、多くの人たちが低賃金の中でその日しのぎのお金を稼いでいる。その一方で、最近は一定の教育を受けた若・中年層が、それなりのお金を稼げるようになってきた。そして彼らの消費動向は第一に食事、第二にバイクや車、第三に子供の教育。と、ここまで満たされると次に出てくる選択肢に親孝行があがってくる。そしてその親孝行の一環として行われるのが海外旅行だ。

 ゆえに、カンボジア人の海外旅行の多くが家族3世代で行われている。旅先で親・子・孫で撮った家族写真をFacebookに投稿する。見せられる側はうんざりする時もあるが、そういった背景を考えればなんとも美しく微笑ましいカンボジア人の幸せの形ではないか。そして、それを見た友達が「今度は私が親を連れて行ってやるんだ」と奮起する、カンボジアの今日この頃である。

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多賀 シモン

カンボジア(在住歴7年)

カンボジア発の季刊カルチャー誌「クロマーマガジン」編集長

 
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