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寒空に楽しむイギリスの花火事情

峰松 愛

イギリス・ロンドン(在住歴23年)

プロフィール詳細

欧州・ロシア・CIS|英国|2018年11月01日

 花火といえば、日本では夏の風物詩。ところ変わってここイギリスでは、秋から冬が本格的な花火シーズンになる。春から夏は夜遅くまで空が明るいので花火に不向きという事情もあるが、400年前の歴史的事件を発端とする11月初旬のガイ・フォークス・ナイトはイギリス各地で盛大な花火大会が開催される時であり、また、大晦日夜の花火の打ち上げイベントも新年の幕開けを祝う行事として欠かせず、この二大イベントを中心に、寒空に輝く花火を見上げるのがこれからの季節のイギリスでのお楽しみ行事だ。
(2018年幕開けの花火の模様はこちら

イギリスの代表的な花火大会の夜、ガイ・フォークス・ナイト

 イギリスで花火の夜といえば、やはり11月5日。ガイ・フォークス(Guy Fawkes)とは、時の国王ジェームズ1世の暗殺を謀って1605年11月5日に国会議事堂上院議場の爆破を企てた、カトリック過激派の火薬陰謀事件の実行責任者だった人物。結局この計画は直前に発覚し、ガイ・フォークスら犯人は逮捕されて未遂に終わったのだが、それ以後11月5日には、この事件を記念してガイ・フォークスに見立てた人形をかがり火に投げ入れて燃やし、花火を上げる行事が各地で行われるようになった。現在は人形を燃やす習慣はなくなりつつあるが、毎年11月5日前後の夜には、盛大な花火大会が各地で開催される。
 筆者の住む北東ロンドンの町でも、11月5日の大花火大会は秋の恒例行事として人気が高い。最近の傾向としては、大型スピーカーから流行りの音楽が大音響で会場に流れ、打ち上げ花火の形や打ち上げるタイミングも音楽に合わせて演出されていて、そこが日本の花火大会とはかなり趣の違うところだろうか。

(左)昨年11月5日のロンドン郊外の花火大会で打ち上げを待つ人々。会場には遊園地アトラクションも(右)軽快な音楽に合わせて打ち上げられる花火

(左)昨年11月5日のロンドン郊外の花火大会で打ち上げを待つ人々。会場には遊園地アトラクションも(右)軽快な音楽に合わせて打ち上げられる花火

プライベートでも、打ち上げ花火

花火のエキスパートの店主と、ロケット花火やディスプレイ花火の主力商品

花火のエキスパートの店主と、ロケット花火やディスプレイ花火の主力商品

 ガイ・フォークス・ナイトや大晦日の夜のほか、10月末のハロウィンの夜、そしてロンドンなど多民族社会の町では2月の中国旧正月と11月初旬のヒンドゥー教の光の祭りであるディワーリー(Diwali)を祝って、あちこちで花火が打ち上げられる。さらに結婚式やお葬式、誕生日や結婚記念日などに自宅の庭から花火を打ち上げて楽しむ人も多い。こうした機会の花火も、スパークラーと呼ばれる手持ち花火よりロケット花火やディスプレイ花火などの打ち上げ花火が主流で、個人でも打ち上げられる商品が花火専門店やオンラインの花火専門ショップで販売されている。

商品は中国製の輸入品が主流、国内製造は1社のみ

年間を通じて花火の販売ができる花火専門店

年間を通じて花火の販売ができる花火専門店

 このように秋冬を中心に需要の多い花火だが、商品は主に中国製の輸入品に頼るのが現状だ。イギリス国内の花火製造業者は、より安価な海外輸入品に押されて減り続け、現在はKimbolton Fireworks社が唯一残るのみで、同社での花火製造も大掛かりな仕掛けの打ち上げ花火に特化されているという。
 輸入品に頼る現状からか、花火販売業者に対する認可は、粗悪品による事故防止もあって厳しいものになっている。特別免許を持つ花火専門店を除き、その他の登録小売店では花火の店売時期が法律で定められている。10月15日~11月10日、12月26~31日、そしてディワーリーおよび中国旧正月の前の3日間という秋から冬の期間に限定され、購入も18歳以上とされている。

 日本より一足早く寒さの訪れたイギリスに、今年もまた寒空での花火の季節が到来する。

出典

・British Fireworks Association(イギリス花火協会)
https://www.britishfireworksassociation.co.uk/

・British Pyrotechnists Association(イギリス花火師協会)
http://www.pyro2.org.uk/

峰松 愛

イギリス・ロンドン(在住歴23年)

東京で出版社勤務後、渡英。編集やライターの仕事の傍ら、ロンドンのオフィス街で日本語教師として活動。

 
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