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プログラム|特別講義 -専門家に聞く-

ハイブリッドワーク環境下で求められる組織変革

佐々木 亮輔

PwCコンサルティング合同会社 パートナー                                                                  専門分野 組織人事・チェンジマネジメント

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グローバルマネージメント|グローバル|日本|2021年06月23日

 ロックダウンを経験した海外の主要国においては、本格的な「Return to Work」が徐々に始まっています。もともとテレワークが進んでいた国や地域においては、パンデミックの経験を通じてリモートワークが常態化したことで、もとのような勤務形態に戻ることはないと言われています。つまり、「ハイブリッドワーク」、オフィスへの出社とリモートワークを併用することが常識になると想定されています。

変わるウェルビーイングの意味合い

 パンデミックに直面し、ハイブリッドワークへシフトする中で、企業でのウェルビーイングの意味合いも変わっています。人と人との接点が持つ意味、バーチャルコミュニケーションの可能性など、社会的ウェルビーイングに対する注目が高まっています。つまり、従業員のエンゲージメントを高め、また採用においても魅力ある会社でいるためには、企業のハイブリッドワークへの対応がとても重要になります。

遅れる日本のリモートワーク

 そもそも日本では、完全なロックダウンがなかった影響も多少あってか、海外と比べるとリモートワークの普及が想定よりも進みませんでした。PwCが今年2月に日本を含む世界19カ国を対象として行った調査においても、日本はリモートワークの実現可能性が諸外国と比べて低いことが分かりました(図1)。今後、グローバルマネジメントに関わる日本のリーダーは、このギャップを認識した対処が必要です。日本の状況を前提とするのはリスクだということです。

 従業員の働きやすさを念頭に、心理的安全性をハイブリッドワークの環境下でどう担保できるか、リーダーは新たなチャレンジに直面しています。実際、オンラインミーティングだけではメンバーの感情や健康状態を読み取りにくくなった、状況を察してあげづらくなった、といった声を聞きます。こうした新しい常識となりつつある分散型の働き方に適応するには、リーダーはより「右脳力」を発揮することが期待されます。

求められる「右脳スキル」

 つまり、オフィスで直接的な接点があれば、状況を分析して論理的かつ的確な指示が出せる、言語力の高い「左脳リーダー」の適性が高いと考えられます。これに対して、リモート環境で直接的に得られる情報が減り、仕事とプライベートの境界線も曖昧になる中では、想像力を働かせて相手の置かれた状況をイメージしたり、相手に共感して悩みや気持ちを引き出したりするような「右脳スキル」が重要になります。

 また、ハイブリッドワークの環境下では、オフィスに求められる機能も変わってきます。日本でも外資系企業や先進企業を中心に、「ハイブリッドオフィス」の導入が始まっています。しかし多くの日本企業や官公庁の職場は未だに旧態依然としていて、フリーアドレスの導入だけでも苦労した企業は少なくありません。オランダで始まった時間と場所にとらわれない働き方「ABW(Activity Based Working)」の考え方を勉強してみると、イメージしやすいかもしれません。海外と日本のオフィス環境もずいぶん変わってきていることを認識しておきましょう。

 ハイブリッドワークを進めるには、組織の論理よりも、現場の従業員の気持ちを傾聴するチェンジマネジメントと、新しい働き方を参加型で自律的に設計する改革を同時に行うことが、これからの成功の方程式です。

関連ページ

・海外子会社のコントロール -緊急事態時に駐在員を戻せるか-
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/column_detail/id=1213

・テレワーク時代に求められるスキルとは?
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/column_detail/id=1187

・海外拠点のコンプライアンスマネジメント
https://gmc.nikkei-r.co.jp/features/column_detail/id=1137

佐々木 亮輔

PwCコンサルティング合同会社 パートナー                                                                  専門分野 組織人事・チェンジマネジメント

15年以上にわたり日系グローバル企業の本社と海外拠点において日本人および外国人経営幹部を巻き込む変革コンサルティングに従事。本社機能の再編、地域統括会社の機能強化、バックオフィス機能の組織再編と業務改革、海外営業組織の再編と能力強化、M&A(DD/PMI)、海外経営幹部の選抜と育成、チェンジマネジメント、組織文化改革など国内外のさまざまな変革プロジェクトの経験を持つ。シンガポールとニューヨークでの駐在など海外経験が豊富で、日本だけでなく、アジアや欧米のベストプラクティスに精通している。タレントマネジメントやチェンジマネジメントに関する講演や寄稿も多数。

 
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