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テレワーク時代に求められるスキルとは?

森 範子

オフィス・グローバルナビゲーター代表

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グローバルマネージメント|アジア・オセアニア|日本|2020年06月15日

 新型コロナウイルス感染予防対策の一環として多くの企業で緊急導入されたテレワーク。コロナ収束後も制度として定着するかが注目されている。テレワークを経験した今、「二度とあの通勤電車には乗れない」と思う人も少なくないだろう。筆者も定着を願っている。ただ、そのためには、企業側は業務フローやシステムを調整し、テレワークが効率化とコスト低減に結び付くようにする必要がある。社員にも、新しい組織形態にあったスキルが求められる。本稿では後者のテレワーク時代を乗り切るスキルについて取り上げる。


 4月下旬、日経ウーマノミクス・プロジェクトの会員らを対象に調査を実施。
「通勤時間が減り家族との時間が増えた」など在宅勤務をした1400人の74.8%が
「新型コロナ収束後も続けたい」と継続を希望。
(日経ウーマノミクス・プロジェクト調査2020/5/19より)

生産性向上に期待、一方で落とし穴も

 オフィスでの仕事には、仕事の生産性を阻害する要因が少なからずあり、その最たるものが通勤だ。特に大都市圏の通勤は心身に大きなストレスとなる。仕事の中にも非効率なやり方や「不要不急」の仕事があり、テレワークはそれらを削減・軽減してくれるメリットがある。例えば、ビデオや電話での会議であれば、だらだらと半日続くようなことはない。時間を自分で管理しやすくなり、仕事に没頭できて生産性も高まる可能性がある。しかし、テレワークには落とし穴もある。

避けられないコミュニケーション不足

 テレワーク環境で仕事をする際に、最も注意しなければならないのは、コミュニケーションの低下だ。オンラインミーティングやチャットツールを駆使するとしても、コミュニケーションの頻度や量は減少しがちだ。さらに、立ち話やランチなど仕事以外のちょっとした機会に得られる、鮮度の高い情報の入手が難しくなる。以前より情報の量や鮮度が格段に落ちるなかで仕事をしなければならない状況を想定しておく必要がある。
 人との接触機会が少なくなることで、気軽に同僚に相談したり、困っていそうな同僚に声をかけたりするのが難しくなる。チーム内で自発的に助け合うことは、以前ほど期待できない。チームの一員という意識がもてず、疎外感に悩む人もでてくると思われる。特に、まだ社内人脈が少ない新入社員や社歴の浅い社員にとっては大きな問題となる。そうした中でもこれまで通りパフォーマンスを発揮していくには、次の3つのスキルが必要になる。

テレワーク時代を乗り切る3つのスキル

情報をとりにいく力
 一番重要なスキルは、自分から情報をとりにいく力だ。待っているだけでは、入ってくる情報は限られる。会議など定期的な情報交換の場の外でも、自ら積極的に情報交換することが大事だ。本格的にテレワークに入る前に、できれば顔見知りをできるだけ幅広くつくっておくのが肝要だ。

ホウレンソウのスキル
 テレワークでは上司が直接監督できないため、個人に仕事の進め方を任せる部分が大きくなる。自立的に仕事をすることが求められるからこそ、テレワーク環境でも安心して自分に仕事を任せてもらうために、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)という基本的なスキルが重要になる。新入社員に限らず、ホウレンソウで上司と信頼基盤をつくることが、テレワーク導入初期の今は特に必要だ。近くを通った上司をちょっと引き留めて話をする--。そんな感覚でホウレンソウができるといい。それが難しければ、上司と話してアウトプットのイメージをできるだけ明確にし、どのタイミングで報告するかをあらかじめ決めておくなど、ホウレンソウにおいてリーダーシップを握るような積極性が大事になる。

プロジェクト管理スキル
 特に管理職の人に求められるのがプロジェクト管理スキルだ。これまで多くの日本企業では、頑張っているかどうかという仕事ぶりやプロセスを重視し高く評価してきた。しかしテレワーク環境では、部下の働きぶりを直接監督するのが難しくなるため、これからは部下を成果で評価せざるを得なくなる。部下を成果で評価するためには、成果イメージを明確に描き、出来・不出来を判定する指標を設定し、作業工程を分解してそれに必要なスキルや所要時間を割り振り、コミュニケーションを通じて進捗を把握するといったプロジェクト管理のスキルが求められる。人を管理するというよりは、仕事を管理するスキルがより重要になってくる。

 この3つのスキルは、従来のような「社員を全人格的に管理する体制」から、「成果を軸とした会社と個人の契約関係」への変化という新しい組織の原理に紐づいており、テレワークの基盤となる重要なスキルであるといえる。

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森 範子

オフィス・グローバルナビゲーター代表

オフィスグローバルナビゲーター代表として、グローバルビジネスの組織・人に関するコンサルティングを提供。

 
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