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決済手段、日本ではSuicaが人気~4カ国留学生インタビュー

日経リサーチ

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グローバル生活者|グローバル|2020年03月26日

 国際調査本部は各国の文化や習慣への理解を深め、調査に役立てるため、「Communication Ambassador」と呼ぶ留学生を組織化している。タイ、中国、インド、フランスからの留学生に、身近なテーマである決済についてインタビューを実施した。急速にキャッシュレス化が進む日本の決済手段を留学生たちはどう使っているか、それぞれの出身国の決済事情はどうなっているかについて聞いた。

Suica、他国にはない便利さ

 留学生に満足度が高い日本での決済手段について聞いたところ、最も高評価だったのはSuicaだった。鉄道会社の違いにもかかわらず利用できる点や、コンビニ・スーパーでの支払いなど複数の目的で利用できる点が評価ポイントに挙がった。
 中国でも類似サービスは存在しているが、「エリアが限られているため利用しにくい」との指摘があった。タイでは鉄道会社間での調整がつかず、会社をまたがっての利用はできないという。インドでも鉄道会社ごとに異なり、支払いができる店も少ないという。

 フランスの留学生からはATMのスクリーン操作を評価する意見が聞かれた。スクリーン上で様々な情報を確認でき、異なる用途でも続けて手続きを進めることができて便利だという。

「ハンコ文化」に戸惑いも

 日本でのお金にまつわる苦労話も聞いた。銀行の口座開設時などにハンコが必要なことにフランス人留学生は戸惑ったという。タイ人留学生は「日本でクレジットカードを持つためには電話番号が必要だが、携帯電話を契約するためにはクレジットカードの番号が必要だった」と振り返る。「QRコード決済などを受け入れている店が限定的で利用しにくい」(中国)、「現金払いが多い」(タイ、インド)といった声も上がった。他にも「ATMでお金をおろす際に手数料をとられる」(インド)との不満もあった。

各国の決済事情

 各国の決済事情についても聞いた。各国における現金、スマホ決済、クレジットカードなどの決済手段の利用頻度は下記の通り。

出典:日経リサーチ自主調査(日本・自国での決算手段について)

出典:日経リサーチ自主調査(日本・自国での決算手段について)

タイ:キャッシュレス化の一方で、現金も欠かせず

 レストランなどでの外食やデパートでの買い物などにクレジットカードを利用する。タイでは給与がない人は持つことができないため、世代や立場によってはデビットカードも広く使われている。働き始めるまでの世代は、親のクレジットカードからAdditional Card(家族カード)を作って利用するケースもある。また、現金は常に持ち歩いているという。屋台やマーケットなどでは、現金しか使えない店もまだ多いためだ。
 最近では、QRコードでの決済が普及しており、友人との食事などで割り勘をする場合に利用するという。バンコクなどの都市部に限るが、複数の屋台を取りまとめてQRコード決済のシステムを導入しようとする動きもある。キャッシュレスの動きが目立ち始めたのは2018年頃から。各銀行が薬局などで実施したキャンペーンの効果もあり、広く浸透するようになった。

中国:QRコードでの支払いが主流に

 QRコード決済(WeChatPay、Alipay)をメインに利用している。区役所への支払いなどを含め、日常の決済シーンはすべてQRコード決済で対応が可能だ。現金は持ち歩かず、財布も不要という。
 キャッシュレスが浸透し始めたのは5~6年前から。若年層から広まり、高齢者でも利用者が拡大している。毎年キャンペーンが実施され、その度に利用者が増加した。利用シーンやキャンペーン実施期間に応じて、QRコード会社を使いわける利用者が多い。WeChatPay、Alipayの方が銀行よりも利率が高く、銀行ではなくアプリで貯金をする人も増えている。

インド: 電子マネー、高額紙幣廃止が普及のきっかけ

 大人気のQRコード決済「Paytm」の他に、デビットカードと現金を用途に応じて使い分けているという。Paytmはタクシー、屋台、送金や友人への支払いに使え、ディスカウントもあり、「便利でお得」が人気の理由だ。Paytmは使用額にリミットがあるため、大きい買い物はデビットカードを利用する。現金は日本円換算で1000円~4000円ほどを持ち歩くが、なくても困らないという。ガソリンスタンドやリキシャに乗るときに使う。クレジットカードは手数料が高いのであまり使っていないという。
 インドではPaytmのほかにもSamsung pay、Google pay、Amazon payなどの電子マネーが多く利用されている。高額紙幣が廃止された2016年ごろから電子マネーが普及し始めた。

フランス:進化型クレジットカードがトレンドに

 決済手段で多く利用されるのはクレジットカードだ。窃盗被害が多いフランスでは最も一般的な決済手段になっている。レストランや自動販売機での支払いなど日常生活のほとんどの場面で使用される。現金はコーヒーを買うときなどに限られ、使用頻度は下がっているという。
 フランスの特徴は今も小切手が日常的に利用されていること(EUで発行される小切手の70%がフランスで利用されている)。利用シーンは高額商品の買い物や高級レストラン、病院での支払いなどだ。
 フランスでは今、タッチ決済のできるクレジットカード「No contact card」がトレンドだ。サインや暗証番号が不要。自販機でも使え、タッチするだけで決済が完了する。普及し始めたのは2016年ごろ。各銀行が若者を対象に実施したキャンペーンにより浸透し始め、親世代にも広がった。

 今回のインタビューでは、決済手段が国の治安やキャッシュに対する信用度に関係していることが印象的だった。また、日本のSuicaの人気ぶりに驚いた。より便利で、よりお得になっていく決済サービスの動向を今後も注視していく。
                                 (国際調査本部 榊原杏菜)

■インタビュー概要
調査内容 日本・自国での決算手段について
対象者  日本に来ている留学生計7名(タイ2名、中国2名、インド2名、フランス1名)
     (日経リサーチのCommunication Ambassador(※1)のメンバー)
実施時期 2019年6月
実施方法 対面インタビュー
聴取項目 1.決済手段の利用実態
      -利用している決済手段
      -普段持ち歩いている決済手段
     2.決済手段の変化・トレンド
      -決済手段の変化
      -企業や政府の取り組み
     3.日本での決済手段
      ‐日本で利用している決済手段の満足・不満足な点

詳細はぜひ日経リサーチへお問い合わせください。
●お問い合わせフォーム
https://www.nikkei-r.co.jp/contact_oversea/
●電話番号
03-5296-5151
日経リサーチ 国際調査本部
担当:豊場・伊藤

※1 日経リサーチ留学生組織:Communication Ambassador
海外リサーチでは、各国の文化や習慣への理解を深めることが不可欠。日経リサーチでは、留学生グループ「Communication Ambassador(CA)」を組織し、外国人向けの調査票の翻訳や、翻訳のチェックなどにあたってもらっている。28カ国・90人が登録しており、出身国はアジアを中心に欧米主要国、南米、中東、アフリカなど世界各国。

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